心血管・代謝疾患における分泌型および異所性発現型脂肪酸結合タンパクの役割解明

2015 年度 実施状況報告書

• 研究課題/領域番号: 26461384
• 研究機関: 札幌医科大学
• 研究代表者: 古橋 眞人 札幌医科大学, 医学部, 講師 (20563852)
• 研究期間 (年度): 2014-04-01 – 2017-03-31
• キーワード: 脂肪酸結合タンパク / アディポカイン / インスリン抵抗性 / 動脈硬化

研究実績の概要

1. 分泌型FABP4の生理的機能を解明するために、マウスにFABP4リコンビナントタンパクを投与したところインスリン抵抗性を生じた。一方、高脂肪食マウスにFABP4中和抗体を投与したところインスリン抵抗性が改善した。FABP4がアディポカインとして作用することが確認された。
2.FABP4分泌機序の解明のために、3T3-L1脂肪細胞からのFABP4分泌の制御を様々な薬剤（インスリン、グルコース、脂肪酸、β受容体作動薬など）を用いて検討したところ、脂肪分解とともにFABP4が分泌されることを見出した。また、マクロファージからもFABP4が分泌されることを確認した。
3. 当教室で35年以上継続している疫学調査 (端野・壮瞥町研究) や臨床のサンプル (心臓カテーテル検査、糖負荷試験、ファーストフード食負荷試験、降圧薬・抗脂質異常薬・抗糖尿病薬投与前後等の血清) を用いて、血清FABP4濃度を検討したところ、心エコーで評価した心臓の拡張能障害と関連することを見出した。また、急性的には糖負荷や高脂肪食負荷により経時的にFABP4濃度が低下することや慢性的にはアンギオテンシンII受容体拮抗薬、DPP4阻害薬、EPA/DHA製剤の投与によりFABP4濃度が低下することを見出した。

現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究実施計画を順調にこなしている。現在、血管障害モデルの検討を行っている。

今後の研究の推進方策

現在進行中の検討を継続していく。

次年度使用額が生じた理由

今年度中に使用する実験試薬に余裕があったため、次年度に購入に回した。

次年度使用額の使用計画

残額を含めて実験試薬を購入する。

研究成果

• [雑誌論文] Reduction of circulating FABP4 level by treatment with omega-3 fatty acid ethyl esters. (2016)
  • 著者名/発表者名: Furuhashi M, Hiramitsu S, Mita T, Omori A, Fuseya T, Ishimura S, Watanabe Y, Hoshina K, Matsumoto M, Tanaka M, Moniwa N, Yoshida H, Ishii J, Miura T.
  • 雑誌名: Lipids Health Dis 巻: 15 ページ: 15
  • DOI: 10.1186/s12944-016-0177-8
  • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
• [雑誌論文] Local production of fatty acid-binding protein 4 in epicardial/perivascular fat and macrophages is linked to coronary atherosclerosis. (2016)
  • 著者名/発表者名: Furuhashi M, Fuseya T, Murata M, Hoshina K, Ishimura S, Mita T, Watanabe Y, Omori A, Matsumoto M, Sugaya T, Oikawa T, Nishida J, Kokubu N, Tanaka M, Moniwa N, Yoshida H, Sawada N, Shimamoto K, Miura T.
  • 雑誌名: Arterioscler Thromb Vasc Biol 巻: 36 ページ: 825-834
  • DOI: 10.1161/ATVBAHA.116.307225
  • 査読あり / 謝辞記載あり
• [雑誌論文] Reduction of serum FABP4 level by sitagliptin, a DPP-4 inhibitor, in patients with type 2 diabetes mellitus. (2015)
  • 著者名/発表者名: Furuhashi M, Hiramitsu S, Mita T, Fuseya T, Ishimura S, Omori A, Matsumoto M, Watanabe Y, Hoshina K, Tanaka M, Moniwa N, Yoshida H, Ishii J, Miura T.
  • 雑誌名: J Lipid Res 巻: 56 ページ: 2372-2380
  • DOI: 10.1194/jlr.M059469
  • 査読あり / 謝辞記載あり
• [学会発表] シンポジウム「心腎脂肪連関と代謝異常」：心血管・腎・代謝疾患における脂肪酸結合タンパク4の役割 (2015)
  • 著者名/発表者名: 古橋眞人
  • 学会等名: 第38回日本高血圧学会
  • 発表場所: 愛媛県民文化会館（松山市）
  • 年月日: 2015-10-09 – 2015-10-11
  • 招待講演
• [学会発表] シンポジウム「高血圧を老化の観点から紐解く」：異所性発現型脂肪酸結合タンパク4と老化との関連 (2015)
  • 著者名/発表者名: 古橋眞人
  • 学会等名: 第38回日本高血圧学会
  • 発表場所: 愛媛県民文化会館（松山市）
  • 年月日: 2015-10-09 – 2015-10-11
  • 招待講演
• [学会発表] シタグリプチンは新規アディポカイン脂肪酸結合タンパク4 (FABP4) の血中濃度を低下させる (2015)
  • 著者名/発表者名: 古橋眞人、平光伸也、石井潤一、美田知宏、大森晶奈、伏屋敬博、石村周太郎、渡邊 礼、松本めぐみ、田中希尚、茂庭仁人、吉田英昭、三浦哲嗣
  • 学会等名: 第36回日本肥満学会
  • 発表場所: 名古屋国際会議場（名古屋市）
  • 年月日: 2015-10-02 – 2015-10-03
• [学会発表] Local production of fatty acid-binding protein 4 in the epicardial/perivascular fat and macrophage leads to coronary atherosclerosis. (2015)
  • 著者名/発表者名: Furuhashi M, Fuseya T, Ishimura S, Mita T, Hoshina K, Watanabe Y, Omori A, Tanaka M, Yoshida H, Miura T.
  • 学会等名: European Society of Cardiology Congress 2015
  • 発表場所: London, UK
  • 年月日: 2015-08-29 – 2015-09-02
  • 国際学会
• [学会発表] オメガ-3脂肪酸エチルは新規アディポカイン脂肪酸結合タンパク4の血中濃度を低下させる (2015)
  • 著者名/発表者名: 古橋眞人、平光伸也、石井潤一、美田知宏、大森晶奈、伏屋敬博、石村周太郎、渡邊 礼、田中希尚、吉田英昭、三浦哲嗣
  • 学会等名: 第58回日本糖尿病学会
  • 発表場所: 海峡メッセ下関（下関市）
  • 年月日: 2015-05-21 – 2015-05-24
• [学会発表] Angiotensin II Receptor Blockers Decrease Serum Concentration of Fatty Acid-Binding Protein 4 in Patients with Essential Hypertension. (2015)
  • 著者名/発表者名: Ishimura S, Furuhashi M, Mita T, Fuseya T, Tanaka M, Moniwa N, Yoshida H, Shimamoto K, Miura T.
  • 学会等名: 第79回日本循環器学会
  • 発表場所: 大阪国際会議場（大阪市）
  • 年月日: 2015-04-24 – 2015-04-26
• [図書] 疾患モデルの作成と利用 &#8211; 脂質異常代謝と関連疾患 <<下巻>>. FABP4 (2015)
  • 著者名/発表者名: 古橋眞人
  • 総ページ数: 52-59
  • 出版者: エル・アイ・シー
• [備考] Sapporo Medical University. Research Seeds.
  • URL: http://web.sapmed.ac.jp/kikaku/degitalbook/research_seeds/FLASH/index.html
• [産業財産権] 糸球体障害の検査方法 (2015)
  • 発明者名: 古橋眞人
  • 権利者名: 古橋眞人
  • 産業財産権種類: 特許
  • 産業財産権番号: 2015-120521
  • 出願年月日: 2015-06-15