研究課題
1. 分泌型FABP4の生理的機能を解明するために、マウスにFABP4リコンビナントタンパクを投与したところインスリン抵抗性を生じた。一方、高脂肪食マウスにFABP4中和抗体を投与したところインスリン抵抗性が改善した。FABP4がアディポカインとして作用することが確認された。2. FABP4分泌機序の解明のために、3T3-L1脂肪細胞からのFABP4分泌の制御を様々な薬剤(インスリン、グルコース、脂肪酸、β受容体作動薬など)を用いて検討したところ、脂肪分解とともにFABP4が分泌されることを見出した。また、マクロファージからもFABP4が分泌されることを確認した。3. 心臓周囲脂肪組織内の冠動脈狭窄部のプラーク内のマクロファージおよび心臓周囲の脂肪組織内の脂肪細胞とマクロファージにFABP4の発現が確認された。FABP4リコンビナントタンパクを血管内皮細胞、血管平滑筋細胞、マクロファージに投与したところパルミチン酸の有無で作用の違いが認められた。さらに、パルミチン酸存在下で、FABP4濃度依存性に炎症惹起が認められた。4. 当教室で35年以上継続している疫学調査 (端野・壮瞥町研究) や臨床のサンプル (心臓カテーテル検査、糖負荷試験、ファーストフード食負荷試験、降圧薬・抗脂質異常薬・抗糖尿病薬投与前後等の血清) を用いて、血清FABP4濃度を検討したところ、心エコーで評価した心臓の拡張能障害と関連することを見出した。また、コレステロール代謝に関連するPCSK9の血中濃度と独立して関連することを見出した。さらに、急性的には糖負荷や高脂肪食負荷により経時的にFABP4濃度が低下することや慢性的にはアンギオテンシンII受容体拮抗薬、DPP4阻害薬、EPA/DHA製剤の投与によりFABP4濃度が低下することを見出した。
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