脂肪細胞とマクロファージに発現する脂肪酸結合タンパク4 (FABP4)の分泌・作用機構について検討を行った。FABP4はシグナルペプチドがないものの脂肪分解に関連して脂肪細胞から分泌され、血管内皮細胞、血管平滑筋細胞、マクロファージにおいてFABP4濃度依存性に炎症を惹起し、動脈硬化形成に関連した。また、血清FABP4濃度はインスリン抵抗性や動脈硬化のみならず、心臓拡張能障害やコレステロール代謝に関連するPCSK9濃度と独立して関連し、各種薬剤の投与により有意に低下した。さらに、血管傷害マウスを用いた検討から、FABP4が血管内皮細胞に異所性発現し、新生内膜形成に関連を認めた。
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