研究課題/領域番号 |
26461388
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
佐藤 貴弘 久留米大学, 分子生命科学研究所, 准教授 (50368883)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 矮小 / 高耐糖能 |
研究実績の概要 |
「抗肥満高耐糖能マウスの原因遺伝子の同定」では、遺伝子異常の存在する領域をより狭めるため、詳細遺伝子マッピング法で解析を行った。本研究の開始前までに第*番染色体(特許の関係上、伏字にしている)の約38.4(Mbp)より上流に遺伝子異常が存在していることを明らかにしてきたため、本研究では、この領域内で新たなプローブを設計して解析を進めたところ、変異遺伝子が約21.7(Mbp)より上流に存在することが明らかとなった。さらに、変異遺伝子の存在領域を予想よりも狭い範囲に絞ることができたため、この領域内において全ゲノムシークエンス解析を行った。抗肥満高耐糖能マウスの同腹仔(野生型及び変異型)を材料とし、SeqCap EZ Developer Library Kit (Roche社)を用いて第*番染色体の21.7(Mbp)より上流のゲノムを抽出・濃縮した。この材料を使用してHiSeq2000(Illumina社)にて全ゲノムのシークエンス解析を行ったところ、変異候補か所として317か所を抽出することができた。 一方、「抗肥満高耐糖能マウスの糖代謝調節機構の解明」では内分泌学的な検討を中心に解析を進めた。正常時の胃のグレリン遺伝子発現量は抗肥満高耐糖能マウスで約1.5倍高い一方、血清レプチン含量は両群間に差が認められなかったことから、抗肥満高耐糖能マウスでは負のエネルギー状態で恒常性が保たれていると考えられた。また、定量PCRアレイ法による膵臓遺伝子の網羅的解析から、グルコース寛容試験下ではグルコース代謝活性が上昇し、インスリン抵抗性活性が低下している可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「抗肥満高耐糖能マウスの原因遺伝子の同定」では、変異遺伝子の存在領域を予想よりも狭い範囲に絞ることができた。このため、当初予定になかったこの領域内における全ゲノムシークエンス解析を行い、より具体的な解析に入ることができた。 一方で、この全ゲノムシークエンス解析のステップを入れたことにより、「抗肥満高耐糖能マウスの糖代謝調節機構の解明」の一部項目の実験が遅れたため、経費の一部を繰り越した。しかしながら、これらの解析項目は研究手法も確立されているため、残された期間での解析が可能であり、研究全体の進捗には影響しないと考えられる。 以上から、本研究はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
「抗肥満高耐糖能マウスの原因遺伝子の同定」では、原因となる変異遺伝子の存在領域を約21.7(Mbp)より上流に絞りかつ変異候補か所として317か所を抽出したので、これらのすべてでサンガー法によるシークエンス解析を行う。 「抗肥満高耐糖能マウスの糖代謝調節機構の解明」では、平成26年度に検討できなかったコルチコステロン含量などを測定後、交付申請書に記載した項目について検討していく。 以上から、今後の研究の推進にあたり大きな変更は予定していない。
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次年度使用額が生じた理由 |
変異遺伝子の存在領域を予想よりも狭い範囲に絞ることができたため、より具体的な検討に入ることができるよう、当初予定になかった全ゲノムシークエンス解析を行った。一方、このステップを加えたことにより、ホルモン含量の測定実験など、一部実験項目の進捗に遅れが生じたために次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
生じた次年度使用額は、平成26年度に予定していた実験内容を変更することなく平成27年度中に順次遂行する研究経費として使用する。なお、これらの実験は手法的にも確立されていることから、平成27年度中の解析が可能であり、かつ交付申請書提出段階で平成27年度に計画していたその他の研究全体の進捗にも影響しない。したがって、遅延分を含めた研究計画に則って研究経費として使用する。
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