研究実績の概要 |
食餌性肥満による胃粘膜病態形成において、レプチンシグナルがどのように関与するのか、どのような経過で病態を発症するのか、マウスモデルで示した。高脂肪食摂食後早期から、胃粘膜においてleptin産生の増加、およびその受容体シグナル分子であるObRb、STAT3, Aktなどのリン酸化亢進が認められた。 その結果、H+K+ATPase, 胃上皮細胞分化マーカーの発現低下(birx1, sox2)、一方、腸上皮分化マーカーの増加(muc2, cdx2)など、腸上皮化生を伴う萎縮性胃炎を発症した。腸上皮化生は胃がん前癌病変であると考えられることから、このような病態モデルが確立できたことに加え、胃粘膜レプチンシグナルが早期の病態形成に関与することを示したことが、極めて意義があり重要である。 leptin欠損であるob/obマウス、およびleptin receptor signalingの欠損であるdb/dbマウスでは顕著に抑制されることから、肥満による萎縮性胃炎の発症初期に胃粘膜レプチンシグナルが極めて重要であることを示した。研究室立ち上げから1年経過し、消化管上皮細胞特異的SOCS3及びObR 二重欠損マウスの繁殖も進んでいる。またObR発現細胞の樹立もほぼ終え、in vivoで示されたような細胞内変化がleptin シグナルに依存することを証明するため、解析を進めている。
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