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2014 年度 実施状況報告書

心房性ナトリウム利尿ペプチドの血管保護作用を応用した癌細胞転移抑制機構

研究課題

研究課題/領域番号 26461393
研究機関独立行政法人国立循環器病研究センター

研究代表者

細田 洋司  独立行政法人国立循環器病研究センター, 研究所, 室長 (40359807)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード血管内分泌学
研究実績の概要

高リスク肺癌手術に対する周術期低用量ANP投与によって、術後早期再発抑制効果を新たに見出した。本研究ではANPによる肺転移抑制効果とその機序を明らかにすることを目的とし、得られた結果は以下の通りである。
BALB/cヌードマウスまたはC57BL/6マウスに、それぞれA549ヒト肺癌細胞(1x106個/個体)、B16F10マウスメラノーマ細胞(2-5x105個/個体)を尾静注し、血行性肺転移モデルを確立した。尾静注前日にANP(0.5γ)を充填したosmotic pumpを皮下埋没し、また静注2週間後に肺組織をサンプリングし肺転移数を計測した。ANP投与群では対照群と比較して肺転移数が有意に減少した。血管内皮特異的GC-Aノックアウト(KO)マウス及び過剰発現(Tg)マウスにおいても同様に血行性肺転移を検討した。野生型マウスと比較して、GC-A KOマウスでは肺転移が著増、GC-A Tgマウスにおいては有意に抑制された。ANPが肺血管内皮細胞のGC-A受容体を介して、癌転移抑制効果を発揮したものと思われる。
ヒト肺動脈内皮細胞(HPAEC)用いた網羅的遺伝子発現解析からANPがE-selectin遺伝子発現を抑制し、細胞接着実験においてANPは癌細胞とHPAECの接着を抑制した。マウス肺転移モデルでも同様に、ANPの肺転移抑制効果の一部はE-selectin発現調節を介するものであった。
Lipopolysaccharide(LPS)刺激によって、マウス肺転移及びHPAECへの癌細胞接着能は促進され、一部はE-selectin発現増強によることが分かった。ANP前投与により、LPS刺激による癌細胞-肺血管内皮細胞への接着促進効果は抑制された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

平成26年度の大部分と27年度の一部の研究実施計画は、予定通りに実施し、論文報告することが出来た。
平成26年度研究実施計画において、ルシフェラーゼ発現癌細胞株の作製とANPによる肺転移抑制機序解明を予定していた。ルシフェラーゼ高発現B16F10マウスメラノーマ細胞を確立し、細胞尾静注後のin vivoルシフェラーゼ活性の経時的変化を観察したが、予想以上に尾静注24時間後のルシフェラーゼ活性低下が認められ、癌細胞の血管外浸潤段階の検討に難渋した。今後、さらにルシフェラーゼ発現の高いメラノーマ細胞の作製、分子イメージングの高感度化等の改善を行う予定である。

今後の研究の推進方策

現時点で当初の研究計画に変更はなく、今年度の研究実施計画に沿って研究を進める。また、可能な限り平成28年度の予定研究の予備実験や基礎検討も行う予定である。

次年度使用額が生じた理由

当初の研究計画より早い段階で実験及び解析結果を得ることができ、その為研究試薬等への支出を抑えることが出来た。今年度は学会発表や研究ミーティングに出席は控え、研究成果を上げることを優先した。

次年度使用額の使用計画

次年度繰越金は、実験試薬や学会発表の旅費に使用予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2015

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Atrial natriuretic peptide prevents cancer metastasis through vascular endothelial cells.2015

    • 著者名/発表者名
      Nojiri T, Hosoda H, Tokudome T, Miura K, Ishikane S, Otani K, Kishimoto I, Shintani Y, Inoue M, Kimura T, Sawabata N, Minami M, Nakagiri T, Funaki S, Takeuchi Y, Maeda H, Kidoya H, Kiyonari H, Shioi G, Arai Y, Hasegawa T, Takakura N, Hori M, Ohno Y, Miyazato M, Mochizuki N, Okumura M, Kangawa K.
    • 雑誌名

      Proc Natl Acad Sci U S A

      巻: 112 ページ: 4086-4091

    • DOI

      10.1073/pnas.1417273112.

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [学会発表] ANPの血管内皮細胞の接着分子制御による癌細胞の転移抑制効果について2015

    • 著者名/発表者名
      細田洋司、野尻崇、石兼真、三浦浩一、宮里幹也、寒川賢治
    • 学会等名
      第88回日本内科学会学術総会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2015-04-23 – 2015-04-25

URL: 

公開日: 2016-05-27  

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