研究課題
これまでに血行性肺転移モデルを確立し、急性炎症による静注癌細胞の肺転移増悪効果の機序や、血管内皮細胞の炎症誘導性の接着分子発現を解析し報告した。今年度は、癌細胞の同所移植による自然肺転移モデルとして確立と、それに対するANPの肺転移抑制効果とその機序解明を目的とし、得られた結果は以下の通りである。GFP強制発現した各種癌細胞株を作製し、4T1マウス乳癌細胞、Colon26マウス大腸癌細胞をBALB/cマウスに、E0771マウス乳癌細胞をC57BL/6マウスに同所移植を行ったところ、4T1乳癌細胞及びColon26大腸癌細胞では移植後約4週間後に一定の肺転移数を認め、自然肺転移モデルとして確立出来た。一方、E0771乳癌細胞では肺転移数の個体差が大きい為モデル確立には至らなかった。前述2つの自然肺転移モデルを用いて、同所移植癌細胞の生着が認められたところでANP(0.5γ・4週間)を充填したosmotic pumpを皮下埋没し、4週間後に肺転移数、組織の炎症性変化を検討した。対照群と比較して、肺転移数はANPによって有意に抑制され、E-selectin等の接着分子や前転移ニッチ関連分子であるS100A8/A9、SAAの遺伝子発現の抑制も認められた。また、LPS誘導及び癌細胞同所移植後の肺組織を用いて網羅的遺伝子発現解析を行ったところ、S100A8/A9等の共通して変化する遺伝子群を認めた。さらにパスウェイ解析等をすすめる予定である。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 2件)
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