研究課題/領域番号 |
26461401
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
濱中 有理 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (50722287)
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研究分担者 |
金倉 譲 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20177489)
柴山 浩彦 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (60346202)
織谷 健司 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70324762)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | アナモルシン / 鉄代謝 / ヘプシジン |
研究実績の概要 |
我々が抗アポトーシス分子として同定したアナモルシン(Anamorsin, AM)は、既知の抗アポトーシス分子とは類似の構造をもたない分子である。AM欠損マウスは、身体が小さく、胎児肝も小さく貧血を認め、胎生後期に致死となることから、AMは胎生期の赤血球造血において重要な役割をしていると考えられる。また、AMは、鉄硫黄(Fe-S)クラスター蛋白形成において重要な役割を果たすだけではなく、鉄制御蛋白1 (Iron regulatory protein, IRP-1)の機能を制御し、細胞内の鉄代謝に関与していることを示した。AMを過剰発現したトランスジェニックマウスの解析では、鉄を過剰に投与すると惹起される炎症反応が減弱しており、また肝細胞でのヘプシジン産生亢進も減弱していた。AMは細胞内の鉄代謝に関与しているのみではなく、生体レベルでの鉄の動態調節に関与していることが考えられた。本研究では、肝細胞におけるヘプシジンの産生機序におけるAMの関与について検討している。 最初に、AM欠損マウスは胎生致死のため、Cre/loxPシステムを用いたCre発現依存的遺伝子欠損マウスの作製を行った。次に、肝細胞特異的にCreリコンビナーゼを発現しているトランスジェニックマウス(Alb-Cre Tgマウス) を、AM遺伝子コンディショナルノックアウトマウス(AM loxP KOマウス)と交配し、肝臓特異的AM欠損マウス(Alb-Cre Tg-AM loxP KOマウス)の作製を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
AM欠損マウスは胎生致死であるため、KOマウスの成体での解析は不可能である。そこで、Cre-loxP systemを用いたAM遺伝子コンディショナルノックアウトマウス(AM loxP KOマウス)を作製した。Alb-Cre TgマウスとAM loxP KOマウスを交配し、肝臓特異的AM欠損マウス(Alb-Cre/AM loxP KOマウス)を作製した。Alb-Cre/AM loxP KOマウスは、メンデル比通りに生まれた。また、成獣マウスの肝臓の組織を検討したが、HE標本の組織像ではコントロールと比較して明らかな差を認められなかった。ただし、予定通り、Alb-Cre/AM loxP KOマウスの作製はできたので、研究の進捗はおおむね順調であると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、作製した肝臓特異的AM欠損マウス(Alb-Cre/AM loxP KOマウス)を解析する。最初に、腹腔内に鉄を過剰投与し、肝臓におけるヘプシジンの産生能に対するAMの影響や、鉄負荷時の炎症反応への影響を検討する。また、腹腔内にLPSを投与することで、炎症モデルを作製し、その際の肝臓でのヘプシジン産生能に対するAMの影響を検討する。さらに、胎児期の二次造血は主に肝臓でおこなわれることから、E-14.5前後の胎児肝を用いて、肝細胞特異的にAMを欠損させた際の二次造血への影響も検討する。
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