研究課題
TET2は、5-メチルシトシンを5-ハイドロキシメチルシトシン(5-hmC)に変換する酵素である。その変異は、骨髄系腫瘍である骨髄増殖性腫瘍(MPN)の10~15%、骨髄異形成症候群の18~23%にみられるが、それ以外に、Bリンパ球系腫瘍の5.7~12%、Tリンパ球系腫瘍の18~83%においても変異が存在することが報告されている。TET2変異をみとめる患者の血液細胞の5-hmCは減少していることから、TET2変異は機能喪失型の変異と考えられている。TET2変異マウスを用いた昨年までの研究で、TET2変異は血球数、脾臓サイズなどに影響を与えないものの、TET2が変異すると造血幹細胞の自己複製能が増加し、個体における造血がクローナルになることを明らかにした。これとは対照的に、MPNのドライバー変異であるJAK2変異陽性造血幹細胞の自己複製能は、野生型造血幹細胞のそれに比べ低下しており、JAK2変異陽性造血幹細胞による長期の造血は維持はできない。MPN患者ではTET2、JAK2の2種類の変異を有する患者が一定数みられることから、二重変異マウスを作成し、おのおのの造血幹細胞の遺伝子発現を検討した。造血幹細胞で特異的にみられる遺伝子群の発現は、TET2欠損造血幹細胞は野生型造血幹細胞とほぼ同等であったが、JAK2変異造血幹細胞では減少していた。二重変異マウスでの発現はJAK2変異造血幹細胞とほぼ同じ傾向であったが、造血幹細胞で特異的に発現が亢進している245遺伝子のうち、100遺伝子に関しては、二重変異造血幹細胞において、JAK2変異造血幹細胞と比べ発現が亢進していた。これらの遺伝子群の発現亢進が、TET2変異が造血幹細胞の自己複製能を亢進させ、癌幹細胞としての性格を付与する一因となっていると考えられた。
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