研究課題
ヒト造血細胞におけるMS4A3の発現を解析した。 リアルタイムRT-PCR法による解析の結果、骨髄球系前駆細胞(CMP)分画におけるMS4A3の発現は、造血幹細胞(HSC)分画と比較して10倍以上高いことがわかった。またその発現は、顆粒球系前駆細胞(GMP)への分化とともに著名に上昇した。一方、巨核球赤芽球系前駆細胞(MEP)分画では、MS4A3がほとんど発現しておらず、HSCとほぼ同レベルだった。膜タンパクであるMS4A3の発現をフローサイトメトリーによって解析したところ、CMPやGMP分画ではMS4A3の発現が認められたが、HSCやMEPではMS4A3の発現が認められなかった。コロニーアッセイの結果、MS4A3+Lin -CD34 -CD38-CD33+分画からは、ミックスコロニーや赤芽球系コロニーは産生されず、顆粒球単球系(GM系)コロニーしか生み出されないことが分かった。急性白血病患者の骨髄細胞のMS4A3発現を解析したところ、一部の白血病細胞においてMS4A3発現が認められた。MS4A3は造血幹細胞ではほとんど発現しておらず、骨髄球系への分化とともに発現が上昇する。また、骨髄性白血病細胞において発現が上昇してくることから、骨髄性白血病の分子標的療法のターゲットになり得ると考えられる。
2: おおむね順調に進展している
ヒト造血幹細胞分化におけるMS4A3の発現解析を、正常および白血病症例において進めることができた。マウスを用いた解析も着実に進行している。
白血病症例におけるMS4A3発現の解析を引き続き行っていく。また、加齢とSATB1-MS4A3系の変化の関係をさらに解析していく。
物品購入と研究成果発表の予定が、当初の予定と異なったため、次年度へ繰り越した。
物品費として、使用する。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件)
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