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2015 年度 実施状況報告書

活性酸素制御異常による成人T細胞白血病発症機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 26461417
研究機関新潟大学

研究代表者

高橋 雅彦  新潟大学, 医歯学系, 講師 (80377192)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワードHTLV-1 / ATL / USP10
研究実績の概要

成人T細胞白血病(ATL)はT細胞の白血病であり、この発症はヒトT細胞白血病ウイルス1型 (HTLV-1)の感染に起因する。ATLは極めて予後不良の白血病であるため、予後の改善に貢献できる治療薬の開発は急務である。亜ヒ酸(Arsenic trioxide)およびプロテアゾーム阻害剤ボルテゾミブ(Bortezomib)はATL細胞にそれぞれ単独でアポトーシスを誘導する。これらを踏まえて、ATLに対する亜ヒ酸あるいはボルテゾミブの臨床治験が開始された。本研究では、これらの薬剤が如何にしてHTLV-1感染細胞に細胞死を誘導するのか、その分子機序の解明を試みた。我々は亜ヒ酸がHTLV-1感染細胞SLB-1に対して強いアポトーシスを誘導すること、このアポトーシス感受性はATLに由来しないT細胞白血病由来のJurkat細胞よりも有意に高いことを見出した。同様の現象はHTLV-1感染細胞をボルテゾミブで処理した際にも観察された。さらに我々は、脱ユビキチン化酵素Ubiquitin-specific protease 10 (USP10)が亜ヒ酸とボルテゾミブのアポトーシス感受性に関与することを見いだした。すなわち、USP10をJurkat細胞においてRNA干渉によりノックダウンすると、亜ヒ酸またはボルテゾミブによって誘導されるアポトーシスが増強した。また、2つの薬剤でSLB-1細胞を併用処理すると、それぞれ単独で処理したときよりもアポトーシスが昂進した。このことから、両薬剤が相乗的あるいは相加的に働いてSLB-1に細胞死を誘導することが示唆された。これらの分子機序をさらに明らかにするため、亜ヒ酸またはボルテゾミブ処理した細胞においてどのようなシグナル伝達機構が作動するのか、そのような機構が薬剤感受性にどのように関与するのか、USP10がどのような役割を担っているのかについて解析を続けている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

HTLV-1感染細胞の亜ヒ酸およびボルテゾミブ感受性に関与する宿主因子としてUSP10を同定することに成功した。

今後の研究の推進方策

HTLV-1感染細胞における亜ヒ酸およびボルテゾミブ感受性亢進の分子機序をさらに明らかにする。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Human T-cell leukemia virus type 1 (HTLV-1) Tax1 oncoprotein but not HTLV-2 Tax2 induces the expression of OX40 ligand by interacting with p52/p100 and RelB.2016

    • 著者名/発表者名
      Motai Y, Takahashi M, Takachi T, Higuchi M, Hara T, Mizuguchi M, Aoyagi Y, Terai S, Tanaka Y, Fujii M.
    • 雑誌名

      Virus Genes.

      巻: 52 ページ: 4-13

    • DOI

      10.1007/s11262-015-1277-7

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Human T-cell leukemia virus type 1 Tax oncoprotein represses the expression of the BCL11B tumor suppressor in T-cells.2015

    • 著者名/発表者名
      Takachi T, Takahashi M, Takahashi-Yoshita M, Higuchi M, Obata M, Mishima Y, Okuda S, Tanaka Y, Matsuoka M, Saitoh A, Green PL, Fujii M.
    • 雑誌名

      Cancer Sci.

      巻: 106 ページ: 461-465

    • DOI

      10.1111/cas.12618.

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり

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公開日: 2017-01-06  

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