研究課題
本年度では、本研究の基盤となる「新世代治療導入後の未治療NK/T細胞リンパ腫における治療実態把握と予後予測モデル構築とを目的とした国内多施設共同後方視的調査研究 (NKEA Part A&B)」(UMIN000015491)の計画と調査票の収集、および次年度以降に行う国内外併合解析 (NKEA Part C)の調整を行った。最初に、NKEA Part A&Bの研究計画書を平成26年9月に作成した。対象は参加施設で2000年(新世代治療導入)から2013年末までに診断されたすべてのNK/T細胞リンパ腫患者である。本研究では放射線治療を行った患者での放射線治療計画に関する調査について、放射線腫瘍医の研究グループ (日本放射線腫瘍学研究機構 悪性リンパ腫・血液腫瘍委員会)と共同研究を行うこととなり、内容を研究計画書に含めた。計33施設が参加を表明し、これまでに30施設でIRB承認が得られ、215例分の二次調査用紙を受け取り、データベース入力を終了している。今後、平成27年5月末までに約150例分の二次調査用紙が回収される見込みである。並行して、NKEA Part Cの研究組織について、海外の複数の共同研究者候補と直接検討した。その結果、新世代治療の内容がわが国と類似している韓国のCISL Group (代表者: Won Seog Kim博士、サムソン医学センター教授)と共同研究を行うこととなった。引き続き、韓国・香港・中国などの東アジアの研究者と、最終年度に予定している推奨治療アルゴリズムの構築と治療コンセンサスレポートの作成に向けて調整と情報交換を行っている。
2: おおむね順調に進展している
NKEA Part A&Bの二次調査用紙回収がわずかに遅れているが、最終的に国内過去最多の350-400例規模のデータ集積が見込まれている。特にわが国で開発され海外でも行われつつあるRT-(2/3)DeVIC療法に関しては過去最多数例での解析となる見込みであり結果が期待される。放射線腫瘍医との共同研究体制の構築、およびNKEA Part C実施の調整も順調に行えており、本研究を通じて放射線腫瘍医と血液腫瘍医、国内外研究者間のコミュニケーションがこれまで以上に促進されつつある。
NKEA Part A&BではNK/T細胞リンパ腫の国内診療実態に関する情報が予想以上に多く得られる見込みである。すなわち、当初予定していた初回治療内容とその有害事象・治療効果だけでなく、効果判定時のPET(/CT)検査の有無、病勢モニタリングのための末梢血EBウイルス定量検査 (国内保険適応外)の有無、放射線治療の詳細など、NK/T細胞リンパ腫診療において各国間で異なるアプローチに関する情報が得られる予定である。調査結果から幅広く解析を行い、新たな東アジア共同研究と次期治療開発に繋げることを目指していく。本研究とほぼ同時期に、韓国と中国においてNK/T細胞リンパ腫に関する後方視的研究が計画されており、本課題の最終年度のコンセンサスレポート作成時までには各々の成果が公開されると予想される。今後も東アジアの研究者と情報交換を行い、東アジア主導で予後の改善を目指す研究を実施する。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件) 図書 (2件) 備考 (1件)
Cancer Sci
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