研究課題/領域番号 |
26461418
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
山口 素子 三重大学, 医学部附属病院, 講師 (50359767)
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研究分担者 |
鈴木 律朗 三重大学, 医学(系)研究科(研究院), 25:リサーチアソシエイト (20280810)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | NK/T細胞リンパ腫 / 新世代治療 / RT-2/3DeVIC療法 / 多施設共同研究 / 国際情報交換 |
研究実績の概要 |
平成27年度では、平成26年度に開始した国内調査研究「新世代治療導入後の未治療NK/T細胞リンパ腫における治療実態把握と予後予測モデル構築とを目的とした国内多施設共同後方視的調査研究 (NKEA Part A&B)」(UMIN000015491)を継続し、調査票の収集と解析を行い、成果発表の準備を行うとともに、国内外併合解析 (NKEA Part C)の調整を行った。 NKEA Part A&Bでは最終的に国内の31施設が参加し、各施設でのIRB承認のあと、計383例分の調査用紙を収集した。病理中央診断および適格性の検討の結果、358例を対象として予定の解析を行った。さらに、平成28年2月に生存および遅発性有害反応に関する追跡調査を行った。その結果、患者背景因子、初回治療内容、全体および各種サブグループでの生存、初発未治療鼻腔(周辺)NK/T細胞リンパ腫に対して国内で開発されたRT-(2/3)DeVIC療法の総合効果、有害事象および遅発性有害反応の種類と頻度、生存、生存に影響する治療前患者背景因子、進行期例における生存に影響する因子が明らかにされた。予後予測モデルの構築に関しては、当初の予想と異なり、少なくともRT-(2/3)DeVIC療法実施例では特定のある一つの治療前患者背景因子が予後予測因子として優れていたことが明らかとなった。以上の結果について平成28年度に開催される複数の国際学会での発表に向けて抄録を提出し、英文誌への投稿論文を準備中である。 引き続き行うNKEA Part Cに関して、東アジアの研究者と情報交換を続けており、協力が得られることを確認した。また、東アジアの複数の研究者からNK/T細胞リンパ腫に関する共同研究の提案があり、検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初、平成26年度で二次調査用紙の回収が遅れ、今年度では平成28年2月に観察期間延長に伴う追跡調査を追加して行ったものの、最終的には年度内にNKEA Part A& Bで目標としていた成果を得ることができた。予後予測モデルの構築を予定していたところ、当初の予想とは異なり単一の因子が予後と強く関連していたことも、成果発表までの期間短縮につながっている。
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今後の研究の推進方策 |
NKEA Part A&Bにより、国内におけるNK/T細胞リンパ腫の臨床データが多く得られた。一方、平成27年度には、韓国を中心とする多国間共同研究グループおよび中国の研究グループから、NK/T細胞リンパ腫に関する後方視的研究の成果が報告された。現時点では各国での推奨治療が異なっているため、平成28年度ではNKEA Part A&Bでの各種サブグループ解析を行うとともに、韓国などのほかの海外研究グループとの共同研究による併合解析を新たに計画し、発生頻度の低い本疾患において、今後の治療開発が効率的に行えるよう統合し推進していく。さらに、今回の研究により新世代治療の治療限界が明らかになったことから、平成28年度ではこれを突破する新たな治療の臨床試験の計画に着手する。
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