研究課題/領域番号 |
26461419
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
北脇 年雄 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50378684)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 免疫チェックポイント阻害剤 / チロシンキナーゼ阻害剤 / 併用療法 |
研究実績の概要 |
免疫チェックポイント阻害剤は,既存治療が無効のがん患者にも有効性を示し,免疫療法ががん治療の新たな領域を切り拓く力を持っていることを明確にした。しかし,免疫チェックポイント阻害剤の奏効率は,多くの癌種で約20%前後に留まっており,決して高いとは言えない。また,一部の患者で免疫反応の過剰活性化による重篤な副作用を来たすこともあることが問題点である。 一方,フィラデルフィア染色体陽性白血病の治療薬として開発されたチロシンキナーゼ阻害薬ダサチニブは,治療標的であるABLキナーゼのみならず,広範なキナーゼを阻害するオフターゲット効果を持ち,免疫細胞における重要なシグナル伝達を担うSrcファミリーキナーゼなどのキナーゼを阻害し免疫修飾作用を持つ。実際,ダサチニブ治療を受けている患者の一部でCD8陽性T細胞,NK細胞などのリンパ球が増加し,リンパ球増加のある患者では治療効果が高いことが示されている。つまり,ダサチニブに抗腫瘍免疫を高める働きがある可能性が示唆されている。 我々はこのようなダサチニブの免疫修飾作用が免疫チェックポイント阻害剤の治療効果を増強することができるのではないかと考え,研究を行っている。本年度は,ダサチニブ治療を受けている患者の免疫活性化の作用機序を明らかにするため,ダサチニブ治療を受けている慢性骨髄性白血病患者のリンパ球,特にNK細胞の表面マーカーを詳細に解析した。解析は終了し,現在論文作成中である。また,免疫チェックポイント阻害剤とダサチニブの併用療法をマウスの腫瘍モデルで検証する実験を計画しており,その予備実験としてマウスの複数の腫瘍細胞株のチロシンキナーゼ阻害薬に対する感受性をin vitroで見る実験を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
マウスのin vivo腫瘍モデルの実験を本年度中に開始する予定であったが,マウス腫瘍細胞株のin vitroにおけるチロシンキナーゼ阻害薬に対する感受性を検証する実験系の確立に時間がかかったため,マウスのin vivoモデルの実験を今年度中に始めることができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
本プロジェクトを担当する大学院生の人員を2人に増やし,計画進行の促進を図る。
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次年度使用額が生じた理由 |
マウスin vivo腫瘍モデルの実験開始が遅れたため,その実験のための費用が使用せずに残った。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は本研究を担当する人員を増加させ,計画進行の促進を図る。予定していたマウスin vivo腫瘍モデルに次年度使用額の費用を使用する。
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