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2014 年度 実施状況報告書

骨髄腫骨髄微小環境がもたらす骨髄腫増殖制御機構の解明と新規治療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 26461422
研究機関徳島大学

研究代表者

安倍 正博  徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (80263812)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード骨髄腫 / 骨病変 / 酸性環境
研究実績の概要

骨髄腫骨微小環境の構成細胞である破骨細胞と骨髄間質細胞のいずれの共存によっても骨髄腫細胞で発現が亢進する因子として、Pim-2キナーゼを同定し、Pim阻害薬が骨髄腫細胞に細胞死を誘導すること、また骨髄腫細胞との共存により骨髄間質細胞にも Pim-2が発現誘導され、Pim-2の発現亢進が骨芽細胞分化を抑制することを見出した。さらに、Pim-2が発現誘導の上流シグナルの解析により、TAK-1の関与を見出した。骨髄間質細胞との共存あるいはTNF-αの添加により、骨髄腫細胞にPim-2の発現と同時にTAK-1の発現とそのリン酸化が誘導された。TAK-1阻害薬(5Z)-7-oxozeaenolは、Pim-2の発現を抑制し、 Pim-2阻害と同様に用量依存的に骨髄腫細胞株の増殖と生存を抑制した。
多発性骨髄腫骨病変部では高度な酸性環境が形成されているが、酸性培地で骨髄腫細胞株を培養すると、Aktのリン酸化とともにPim-2キナーゼの発現が誘導された。酸性環境下では骨髄腫細胞のTDAG8、OGR1、TRPV1などのpHセンサーの発現が亢進した。PI3K阻害薬LY294002の添加により、酸性環境下でのAktのリン酸化の誘導が消失するとともに、これらのpHセンサーの発現亢進も減弱した。酸性下では骨髄腫細胞で転写因子Sp1の核移行が誘導されたが、この核移行はLY294002の添加により抑制された。また、LY294002およびSp1阻害薬terameprocolにより特に低pH領域(pH4~7)を感知するTRPV1の酸性下での骨髄腫細胞における発現亢進が抑制された。これらの結果より、骨髄腫細胞は酸を感受しPI3K-AktおよびPim-2を介する生存シグナル経路を活性化し、この活性化がさらに自らのpHセンサーの発現を増強させるという悪循環を形成していることが示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

各種阻害薬が入手でき、検討が順調に進んだ。

今後の研究の推進方策

Pim-2キナーゼ、TAK-1がどのようなシグナル経路を介して骨髄腫の骨形成抑制と骨微小環境内での腫瘍進展・薬剤抵抗性をもたらしているのかを探索する。また、Pim阻害薬、TAK-1阻害薬の治療効果、およびその効果は発現機序明らかにする。

次年度使用額が生じた理由

培養実験等が順調であったため、保有していた試薬で賄える部分があり阻害薬などの購入が予定より少なくなった。

次年度使用額の使用計画

動物モデルでの実験を予定しているため、阻害薬が多量に必要である。そのために使用予定である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件)

  • [雑誌論文] Pim-2 kinase is an important target of treatment for tumor progression and bone loss in myeloma2015

    • 著者名/発表者名
      Hiasa M, Jumpei T, Oda A, Amachi R, Harada T, Nakamura S, Miki H, Fujii S, Kagawa K, Watanabe K, Endo I, Kuroda Y, Yoneda T, Tsuji D, Nakao M, Tanaka E, Hamada K, Sano S, Itoh K, Matsumoto T, Abe M
    • 雑誌名

      Leukemia

      巻: 29 ページ: 207-217

    • DOI

      10.1038/leu.2014

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Induction of endoplasmic reticulum stress by bortezomib sensitizes myeloma cells to DR5-mediated cell death2015

    • 著者名/発表者名
      Miki H, Nakamura S, Oda A, Amachi R, Watanabe K, Hanson D, Teramachi J, Hiasa M, Yagi H, Sogabe K, Takahashi M, Maruhashi T, Udaka K, Harada T, Fujii S, Nakano A, Kagawa K, Ri M, Iida S, Ozaki S, Matsumoto T, Abe M
    • 雑誌名

      International Journal of Myeloma

      巻: 5 ページ: 1-7

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Risk factors for early-onset peripheral neuropathy caused by vincristine in patients with a first administration of R-CHOP or R-CHOP-like chemotherapy2014

    • 著者名/発表者名
      Okada N, Hanafusa T, Sakurada T, Kawazoe K, Teraoka K, Kujime T, Abe M, Shinohara Y, Minakuchi K
    • 雑誌名

      J Clin Med Res

      巻: 6 ページ: 252-260

    • DOI

      10.14740/jocmr1856w

    • 査読あり
  • [学会発表] 骨髄腫骨病変の管理:ゾレドロン酸かデノスマブか2014

    • 著者名/発表者名
      安倍正博
    • 学会等名
      第76回血液学会学学術集会
    • 発表場所
      大阪国際会議場(大阪府大阪市)
    • 年月日
      2014-10-31
    • 招待講演
  • [学会発表] 骨微小環境と骨髄腫の進展2014

    • 著者名/発表者名
      安倍正博
    • 学会等名
      第32回日本骨代謝学会学術集会
    • 発表場所
      大阪国際会議場(大阪府大阪市)
    • 年月日
      2014-07-24
    • 招待講演

URL: 

公開日: 2016-05-27  

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