骨髄腫(MM)骨病変部では酸性環境が形成されているが、酸はMM細胞のPI3K-Akt生存経路の活性化すると共にpHセンサーTRPV1の発現を亢進させ、同時にHDAC1の発現誘導を介し遺伝子発現を制御し、MM細胞が酸感受性を高めつつ生存シグナルの活性化を獲得するという骨病変部酸環境へのMM細胞の順応機序が示された。また、MM細胞と骨髄微小環境側の骨髄間質細胞および破骨細胞との相互作用によりこれらの細胞全てにおいて、TAK-1-Pim-2キナーゼ経路が活性化され腫瘍進展と骨病変の形成に重要なシグナルを媒介していた。TAK-1はMMの腫瘍進展と骨破壊病変形成を促進する枢軸的な制御因子と考えられる。
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