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2014 年度 実施状況報告書

白血病p53による白血病微小環境の変調

研究課題

研究課題/領域番号 26461425
研究機関佐賀大学

研究代表者

小島 研介  佐賀大学, 医学部, 准教授 (10332793)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワードp53 / 白血病 / 造血微小環境
研究実績の概要

白血病が内包するp53の機能異常が、白血病微小環境および微小環境から腫瘍へのフィードバックに与える影響と、そのメカニズムを明らかにする目的で、研究を開始した。白血病細胞のp53の機能状態により、白血病細胞が、白血病を支持する間質系幹細胞に異なった細胞内分子シグナルを誘導するか否かを、ヒト急性骨髄性白血病において明らかにするために、急性骨髄性細胞株、さらに細胞内p53の発現状態が異なるアイソジェニックな急性骨髄性細胞株を数種類作成し、これを造血支持細胞のモデルであるHS-5 と共培養をおこなった。HS-5は急性骨髄性細胞株の生存をよく支持し、また各種抗がん剤から白血病細胞をよく保護した。これは、FLT3陽性細胞株であるMOLM-13において顕著であった。よって、このモデルを用いて検討をすすめたが、このモデルにおいては、白血病細胞による造血支持細胞のシグナル変調効果は明らかでなく、実験系の評価マーカーは見出し難かった。このモデルにおいて白血病細胞におけるp53の発現量の変化が、造血支持細胞からの生物学的フィードバックに影響を与えるか検討したが、明らかでなかった。このことは、HS-5がHPV感染細胞であることと関係していることが考えられたため、造血支持細胞としてNK.tertなどをモデル細胞に用いて検討をおこなうこととしている。マウス白血病細胞を用いた検討では、p53の有無によって、白血病細胞は間質系幹細胞に異なった細胞内分子シグナルを誘導するという結果を得ており、これは間質系幹細胞の挙動に影響を及ぼすと予想されることから、生体微小環境内のダイナミックな細胞相互作用の中で、ヒト白血病のp53シグナルが惹起する分子生物学的影響を明らかにしてゆく。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

白血病細胞のp53の機能状態により、白血病細胞が、白血病を支持する間質系幹細胞に異なった細胞内分子シグナルを誘導するか否かを明らかにするために作成した、最初のモデルにおいて、白血病細胞による造血支持細胞のシグナル変調効果は明らかでなく、実験系の評価マーカーは見出し難かったこと、白血病細胞におけるp53の発現量の変化が、造血支持細胞からの生物学的フィードバックに影響を与えていることを強く示すデーターを得なかったため、条件等をよく検討し、新たなin vitro白血病微小環境モデルを作成することとした。マウス白血病細胞を用いた検討では、p53の有無によって、白血病細胞は間質系幹細胞に異なった細胞内分子シグナルを誘導するという結果を得ている。

今後の研究の推進方策

白血病細胞のp53の機能状態により、白血病細胞が、白血病を支持する間質系幹細胞に異なった細胞内分子シグナルを誘導するか否かを、ヒト急性骨髄性白血病において明らかにするために、急性骨髄性細胞株、さらに細胞内p53の発現状態が異なるアイソジェニックな急性骨髄性細胞株を数種類作成したが、これとともに患者白血病細胞、造血支持細胞のモデルとしてHPV感染細胞であるHS-5を回避してNK.tert を用いることとした。患者白血病細胞の使用に関して、院内審査委員会の承認を得たところである。白血病細胞のp53の機能状態を能動的にコントロールすることで、白血病細胞から間質系幹細胞への細胞内分子シグナルを変動させることができるかを検討するために、白血病細胞内のp53制御因子群(MDM2、XPO1、WIP1、ATMなど)をSiRNA、小分子化合物等によってその発現を変化させ、p53シグナルへの影響をみてゆく。これらにより、研究を推進してゆく。

次年度使用額が生じた理由

マウス白血病細胞を用いた検討では、p53の有無によって、白血病細胞は間質系幹細胞に異なった細胞内分子シグナルを誘導するという結果を得ていたが、白血病細胞のp53の機能状態により、白血病細胞が、白血病を支持する間質系幹細胞に異なった細胞内分子シグナルを誘導するか否かを明らかにするために作成した、最初のモデルにおいて、白血病細胞による造血支持細胞のシグナル変調効果は明らかでなく、実験系の評価マーカーは見出し難かったこと、白血病細胞におけるp53の発現量の変化が、造血支持細胞からの生物学的フィードバックに影響を与えていることを強く示すデーターを得なかったため、この状態で先へ進むことはせずに、より意義深いin vitro白血病微小環境モデルを作成することとしたため。

次年度使用額の使用計画

白血病ー白血病微小環境のp53依存性コミュニケーションを明らかにする目的で、急性骨髄性細胞株、さらに細胞内p53の発現状態が異なるアイソジェニックな急性骨髄性細胞株を数種類作成したものに加えて、患者白血病細胞、造血支持細胞のモデルとしてHPV感染細胞であるHS-5を回避してNK.tert を用いることとした。患者白血病細胞の使用に関して、院内審査委員会の承認を得たところである。白血病細胞のp53の機能状態を能動的にコントロールすることで、白血病細胞から間質系幹細胞への細胞内分子シグナルを変動させることができるかを検討するために、白血病細胞内のp53制御因子群(MDM2、XPO1、WIP1、ATMなど)をSiRNA、小分子化合物等によってその発現を変化させ、p53シグナルへの影響をみてゆく。白血病微小環境は最近、急激に知見が増えつつあり、学会に参加し、医学の進歩の最先端を学ぶとともに、p53依存性白血病微小環境モデル作成に注力する。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 5件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Coexistence of ALK-anaplastic large cell lymphoma and CD4+ T cell large granular lymphocytic leukemia.2015

    • 著者名/発表者名
      Kamachi K, Fukushima N, Ando T, Sato K, Ohshima K, Yokoo M, Shindo T, Kubota Y, Kojima K, Kimura S. Coexistence of ALK-anaplastic large cell lymphoma and CD4+ T cell large granular lymphocytic leukemia.
    • 雑誌名

      Ann Hematol.

      巻: 94 ページ: 539-540

    • DOI

      10.1007/s00277-014-2176-z.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Reactivation of resolved infection with the hepatitis B virus immune escape mutant G145R during dasatinib treatment for chronic myeloid leukemia.2015

    • 著者名/発表者名
      Ando T, Kojima K, Isoda H, Eguchi Y, Honda T, Ishigami M, Kimura S.
    • 雑誌名

      Int J Hematol.

      巻: 101 ページ: 1

  • [雑誌論文] Induction of p53-mediated transcription and apoptosis by Exportin-1 (XPO1) inhibition in mantle cell lymphoma.2014

    • 著者名/発表者名
      Yoshimura M, Ishizawa J, Ruvolo V, Dilip A, Quintas-Cardama A, McDonnell TJ, Neelapu SS, Kwak LW, Shacham S, Kauffman M, Tabe Y, Yokoo M, Kimura S, Andreeff M, Kojima K.
    • 雑誌名

      Cancer Sci. 2014;105:795-801.

      巻: 105 ページ: 795-801

    • DOI

      10.1111/cas.12430.

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Diffuse bone marrow uptake of fluorodeoxyglucose in a patient with aleukaemic acute lymphoblastic leukaemia.2014

    • 著者名/発表者名
      Kitamura H, Ando T, Kojima K, Komiya K, Sueoka-Aragane N, Kimura S.
    • 雑誌名

      Br J Haematol.

      巻: 166 ページ: 2

    • DOI

      10.1111/bjh.12872.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Small lymphocytic lymphoma presenting as bulky renal incidentaloma.2014

    • 著者名/発表者名
      Kamachi K, Kojima K, Nishijima A, Takeshita M, Ando T, Kimura S.
    • 雑誌名

      Int J Hematol.

      巻: 100 ページ: 107-108

    • DOI

      10.1007/s12185-014-1609-8.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] ABL tyrosine kinase inhibitor-induced pulmonary alveolar proteinosis in chronic myeloid leukemia.2014

    • 著者名/発表者名
      Yoshimura M, Kojima K, Tomimasu R, Fukushima N, Hayashi S, Sueoka E, Kimura S.
    • 雑誌名

      Int J Hematol.

      巻: 100 ページ: 611-614

    • DOI

      10.1007/s12185-014-1666-z.

    • 査読あり
  • [学会発表] Prognostic impact and targeting of BMI-1 in acute myeloid leukemia2014

    • 著者名/発表者名
      Yuki Nishida, Kensuke Kojima, Aya Maeda, Dhruv Chachad, Hiroaki Kitamura, Jo Ishizawa, Michael Andreeff, Steven Kornblau, Shinya Kimura
    • 学会等名
      56th ASH Annual Meeting and Exposition
    • 発表場所
      San Francisco
    • 年月日
      2014-12-06 – 2014-12-09
  • [学会発表] p53と白血病2014

    • 著者名/発表者名
      小島研介
    • 学会等名
      第76回日本血液学会学術総会
    • 発表場所
      大阪
    • 年月日
      2014-10-31 – 2014-11-02
    • 招待講演
  • [学会発表] マントル細胞リンパ腫における、XPO1阻害によるp53依存性転写の誘導と細胞死2014

    • 著者名/発表者名
      小島研介
    • 学会等名
      第18回日本がん分子標的治療学会
    • 発表場所
      仙台
    • 年月日
      2014-06-25 – 2014-06-27
  • [学会発表] Induction of p53-mediated transcription and apoptosis by XPO1 inhibition in mantle cell lymphoma2014

    • 著者名/発表者名
      Kensuke Kojima
    • 学会等名
      16th International p53 Workshop
    • 発表場所
      Stockholm
    • 年月日
      2014-06-15 – 2014-06-19

URL: 

公開日: 2016-05-27  

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