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2014 年度 実施状況報告書

多発性骨髄腫及びホジキンリンパ腫のPU.1発現誘導を利用した治療応用の基礎研究

研究課題

研究課題/領域番号 26461427
研究機関熊本大学

研究代表者

奥野 豊  熊本大学, 大学院生命科学研究部, 准教授 (80363539)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード多発性骨髄腫 / PU.1 / IRF4 / IRF7 / 腫瘍抑制因子 / 細胞死 / 新規薬剤
研究実績の概要

我々はこれまでPU.1が多発性骨髄腫及びホジキンリンパ腫(HL)の腫瘍抑制因子であることを示してきた。tet-offの系を用いてPU.1をconditionalに骨髄腫細胞株U266, KMS12PE、HL細胞株L-428, KM-H2に発現させると細胞増殖停止と細胞死が起こることを示した。そしてPU.1による細胞増殖停止にはU266及びL-428ではp21が関わっていること、細胞死にはU266, KMS12PEでTRAILが一部関わっていることを示した。我々は更に骨髄腫細胞の生存に必須のIRF4の発現がU266において低下していることを示した。IRF4をknockdownすると殆どの骨髄腫細胞株は細胞死を起こすことがこれまで示されている。今回、我々はKMS12PEにおいてもIRF4がPU.1によって低下することを示した。さらにKHM11骨髄腫細胞株にもlentivirusの系を用いてPU.1を導入した。すると細胞増殖停止と細胞死がおこること、さらにIRF4が発現低下することを示した。このPU.1によるIRF4発現低下のメカニズムについては現在解明中である。このIRF4の発現低下は腫瘍細胞に細胞死を誘導するIFNbの直接の転写因子でその発現を上昇させることが知られているIRF7の発現を上昇させることを突き止めた。このメカニズムをしてはIRF4がIRF7のpromoterに結合してその発現を抑制していることがABC type DLBCL細胞にて報告されているが、同様のことが骨髄腫細胞株で起こっていることを我々は示した。これらのメカニズムからPU.1による細胞増殖停止と細胞死にはIRF4の発現低下が関わっていることが示された。我々はこれまで骨髄腫及びリンパ腫細胞に細胞死を引き起こす化合物をスクリーニング中である。これまで1500の化合物を検索した。この中に様々なレベルで骨髄腫及びリンパ腫細胞に細胞死を起こす化合物を見出している。今後はこれら化合物の中にPU.1やTRAILの発現を上昇させる薬剤がないかを検索する予定としている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

PU.1発現による骨髄腫細胞の細胞増殖停止と細胞死のメカニズムをIRF4の発現低下に関連してかなり解明できている。更に新規薬剤のスクリーニングを行っており、有力な化合物である可能性のあるものをいくつが見出している事による。

今後の研究の推進方策

PU.1によるIRF4の発現低下のメカニズムの解明を行っていく。更にこれを応用した治療法の開発を行っていく。
現在の新規薬剤のスクリーニングを進めて行く。特に抗骨髄腫細胞作用のある薬剤についてPU.1の発現を上昇させるもの、IRF4の発現を低下させるもの、IRF7の発現を上昇させるものなど、骨髄腫の細胞増殖停止や細胞死を引き起こす薬剤のスクリーニングを進めて行く。

次年度使用額が生じた理由

2984円と残金は少額であり、無理して物品を購入するよりも翌年度に有効利用したいと考えた。

次年度使用額の使用計画

少額であるので次年度の予算と合わせて研究に必要な消耗品の購入に充てる予定です。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Shikonin, dually functions as a proteasome inhibitor and a necroptosis inducer in multiple myeloma cells.2015

    • 著者名/発表者名
      Wada N, Kawano Y, Fujiwara S, Kikukawa Y, Okuno Y, Tasaki M, Ueda M, Ando Y, Yoshinaga K, Ri M, Iida S, Nakashima T, Shiotsu Y, Mitsuya H, Hata H.
    • 雑誌名

      Int J Oncol.

      巻: 46 ページ: 963-72

    • DOI

      10.3892/ijo.2014.2804

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Complete remission achieved by a combination regimen with bortezomib, cyclophosphamide, and dexamethasone in a multiple myeloma patient with elevated serum KL-6 level.2014

    • 著者名/発表者名
      Okuno Y, Nishimura N, Nosaka K, Hata H, Mitsuya H.
    • 雑誌名

      臨床血液

      巻: 55 ページ: 948-952

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Regression of primary rectal MALT lymphoma after Helicobacter pylori eradication.2014

    • 著者名/発表者名
      Nosaka K, Shono T, Yonemura Y, Iyama K, Sasaki Y, Endo S, Okuno Y, Mitsuya H.
    • 雑誌名

      臨床血液

      巻: 55 ページ: 948-952

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Combined use of bortezomib, cyclophosphamide, and dexamethasone induces favorable hematological and organ responses in Japanese patients with amyloid light-chain amyloidosis: a single-institution retrospective study.2014

    • 著者名/発表者名
      Kikukawa Y, Yuki H, Hirata S, Ide K, Nakata H, Miyakawa T, Matsuno N, Nosaka K, Yonemura Y, Kawaguchi T, Hata H, Mitsuya H, Okuno Y.
    • 雑誌名

      International Journal of Hematology

      巻: 101 ページ: 133-9

    • DOI

      10.1007/s12185-014-1705-9

    • 査読あり
  • [学会発表] Conditional knockout of Sfpi1 in post germinal center B and plasma cells induces B cell lymphoma and plasma cell neoplasm2014

    • 著者名/発表者名
      遠藤慎也
    • 学会等名
      アメリカ血液学会
    • 発表場所
      San Francisco Moscone Center
    • 年月日
      2014-12-06
  • [学会発表] Xenograft models of multiple myeloma reveal that PU.1 serves as a tumor suppressor for multiple myeloma2014

    • 著者名/発表者名
      西村直
    • 学会等名
      アメリカ血液学会
    • 発表場所
      San Francisco Moscone Center
    • 年月日
      2014-12-06
  • [学会発表] Deletion of Sfpi1 in the lineages from post GC B cells to plasma cells induces B cell malignancies2014

    • 著者名/発表者名
      遠藤慎也
    • 学会等名
      日本血液学会
    • 発表場所
      大阪国際会議場
    • 年月日
      2014-11-02
  • [学会発表] PU.1 is a tumor suppressor in multiple myeloma cells in xenograft models2014

    • 著者名/発表者名
      西村直
    • 学会等名
      日本血液学会
    • 発表場所
      大阪国際会議場
    • 年月日
      2014-10-31

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公開日: 2016-05-27  

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