研究実績の概要 |
H26年度、H27年度に引き続き、成人T細胞白血病の制御へ向けたHTLV-1プロウイルス解析を行った。経時的なHTLV-1感染者サンプルの集積を継続した。合計50症例を超える末梢血単核球検体の保存を行った。 HTLVーⅠのプロウイルスのエピゲノム解析に関して、昨年度インスレータータンパクであるCTCFのHTLV-1のゲノムへの結合を示しが(Satou et al, PNAS 2016)、さらに、HTLV-1のプロウイルスのエピジェネティックな転写制御メカニズム解析を効率的に進めるため、DNAプローブを用いたプロウイルスDNA配列の濃縮法を確立し、高感度かつ効率的にプロウイルス解析を行うことが可能となった。(Miyaszato P et al Sci Rep 2016) 同方法を活用することで、HTLV-1のエピゲノム状態を詳細に解析した結果、プロウイルス内に、顕著なオープンクロマチン領域を特定し、これまで報告が無い新規エンハンサー領域が存在する事を見出した。(Matsuo et al 未発表データ)エンハンサー領域のヒストン修飾パターンを調べたところ、エンハンサーに特徴的な修飾を認めた。さらに、エンハンサー領域に結合する転写因子の特定も行い、分子メカニズムの解析が進んだ。HTLV-1の持続潜伏感染において重要な役割を果たしている事が示唆された。 上記研究成果について、学会発表、論文発表、メディアによる情報発信等を通じて、広く社会に周知した。
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