研究課題
本年度も引き続き、急性骨髄性白血病症例の初発時と再発時における遺伝子異常の解析を行った。既知の遺伝子変異として、AMLにおいて遺伝子変異の頻度が高いNPM1、FLT3、CEBPA、IDH1、IDH2、DNMT3A、WT1およびTP53などの遺伝子変異の有無を検索した。NPM1変異例ではDNMT3A、FLT3、IDH1あるいはIDH2変異との共存を認めることが多かった。TP53変異はこれらの遺伝子変異と共存が少なかった。診断時と再発時のペア検体の解析により、多くの例で再発時には初診時のメインクローンと思われる遺伝子変異に加えて、新たな異なる体細胞変異を認めた。急性骨髄性白血病の再発時の遺伝子変異が初発時にも微少なサブクローンとして存在したか、あるいは新しく獲得したものであったか、また、再発時に消失した遺伝子変異についても初発時にメインクローンとは別のサブクローンではなかったか、初発時検体における単一細胞PCR解析を行い、結果の解析中である。これらの再発時に新たに認めた遺伝子変異の多くは、再発時に新たに獲得した変異であったが、一部の症例においては初診時からマイナーなサブクローンとして存在していた可能性が示唆され、現在複数例で検証中である。とくに、共存しやすいNPM1、DNMT3A、FLT3、IDH1、IDH2遺伝子変異例では微少なサブクローンの存在する可能性が高いと推定された。これらの特徴は急性骨髄性白血病再発の分子モデルとなりうると考えられ、初診時検体の詳細な解析により、再発の予測を行いうる可能性が示唆された。
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