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2014 年度 実施状況報告書

新規RCSD1-ABL1遺伝子癌化能と分子標的薬開発

研究課題

研究課題/領域番号 26461434
研究機関日本医科大学

研究代表者

猪口 孝一  日本医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10203267)

研究分担者 玉井 勇人  日本医科大学, 医学部, 講師 (40465349)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワードBaF3 / RCSD1-ABL1 / TK / ALL
研究実績の概要

RCSD1-ABL1のトランスフォーメーション活性はBCR-ABL1分子のトランスフォーメーション活性と違った機構が想定されている。この違ったRCSD1-ABL1のトランスフォーメーション活性を解明すべく我々はRCSD1-ABL1陽性ALL患者細胞から2種類(RCSD1 exon3の有無の2種類;90 bpの差がある)のRCSD1-ABL1遺伝子のクローニングに成功した。更にこの2種類のRCSD1-ABL1遺伝子をレトロウイルスベクター経由でマウスのリンパ系幹細胞株BaF3に導入したところ、RCSD1遺伝子のexon3とABL1遺伝子のexon4の融合遺伝子のみがBaF3のIL3依存性から脱却しIL3非依存性に自立増殖能を獲得していることを確認した(in vitro確認)。したがってこのRCSD1 exon3に相当する30アミノ酸はRCSD1-ABL1遺伝子のトランスフォーメーション活性に重要な配列であることが確か
められた。更にこのRCSD1遺伝子のexon3とABL1遺伝子のexon4の融合遺伝子を導入しBaF3をSCIDマウスに移植すると有意差を持って(P=0.02 VS control, P=0.03 VS RCSD1 exon2とABL1 exon4の融合遺伝子を導入したBaF3)マウス生存期間が短縮していることも確認した(in vivo確認)。現在、この2種類のRCSD1 exon3に相当する30アミノ酸の有無によるRCSD1-ABL1遺伝子の下流シグナルを同定すべく、それぞれのBaF3細胞とチミジンキナーゼ活性が亢進する分子を同定中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

RCSD1-ABL1陽性ALL患者細胞から2種類のRCSD1-ABL1遺伝子のクローニングに成功した。更にこの2種類のRCSD1-ABL1遺伝子をレトロウイルスベクター経由でマウスのリンパ系幹細胞株BaF3に導入に成功し、RCSD1遺伝子のexon3とABL1遺伝子のexon4の融合遺伝子のみがBaF3のIL3依存性から脱却しIL3非依存性に自立増殖能を獲得していることを確認した。したがってこのRCSD1 exon3に相当する30アミノ酸がRCSD1-ABL1遺伝子のトランスフォーメーション活性に重要な配列であることが確かめられた。更にこのRCSD1遺伝子のexon3とABL1遺伝子のexon4の融合遺伝子を導入しBaF3をSCIDマウスに移植すると有意差を持って(P=0.02 VS control, P=0.03 VS RCSD1 exon2とABL1 exon4の融合遺伝子を導入したBaF3)マウス生存期間が短縮していることも確認した(in vivo確認)。現在、このRCSD1-ABL1遺伝子の下流シグナルを同定すべく、それぞれのBaF3細胞とチミジンキナーゼ活性が亢進する分子を同定中であり、おおむね順調に進展していると考えている。

今後の研究の推進方策

1.gene expression profile解析により増殖に関わるシグナル分子を同定し明かにする。我々はp190BCR-ABL1cDNを有しており同様にBaF3細胞にレトロウイルスベクター経由で導入しその癌可能を解析すると同時にこの2種類のRCSD1-ABL1および p190BCR-ABL1cDNAをgene expression profile解析により網羅的に関係分子シグナル機構を解明する。
2.RCSD1-ABL1cDNA遺伝子導入マウス並びにRCSD1-ABL1cDNA遺伝子発現細胞移植B-ALLモデルマウスの作成を行いRCSD1-ABL1cDNA遺伝子発現B-ALLモデルマウスの表現型を解析し、マウス細胞を通して増殖に関わるシグナル分子を同定する。
3.RCSD1-ABL1遺伝子由来蛋白の分子標的薬を次の2方法により開発する。我々はヒストン脱アセチル化酵素阻害剤(HDAI)であるpivaloyloxymethyl butyrateやRCSD1-ABL1に競合する細胞膜通過ペプチドにこの30アミノ酸を付加する特殊なペプチドで選択的にこのRCSD1-ABL1融合遺伝子陽性白血病細胞株がアポトーシスに導かれることも確認している(preliminary data)。今回の研究期間内でRCSD1-ABL1発現造血幹細胞移植マウスや、RCSD1-ABL1発現遺伝子導入マウスに投与し治療効果をin vitroならびにin vivoで検証したい。これらの基礎実験を含むトランスレーショナル解析が進めば臨床試験の可能性も追求したい。

次年度使用額が生じた理由

人件費が今年度必要とならなかった。

次年度使用額の使用計画

人件費を念頭に研究物品費を次年度に計画したい。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 謝辞記載あり 1件)

  • [雑誌論文] Shorter halving time of BCR-ABL1 transcripts is a novel predictor for achievement of molecular responses in newly diagnosed chronic-phase chronic myeloid leukemia treated with dasatinib: Results of the D-first study of Kanto CML study group2015

    • 著者名/発表者名
      1.Iriyama N, Fujisawa S, Yoshida C, Wakita H, Chiba S, Okamoto S, Kawakami K, Takezako N, Kumagai T, Inokuchi K, Ohyashiki K, Taguchi J, Yano S, Igarashi T, Kouzai Y, Morita S, Sakamoto J, Sakamaki H
    • 雑誌名

      Am J Hematol

      巻: 90 ページ: 282、287

    • DOI

      10.1002/ajh.23923. Epub 2015 Mar 2.

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Efficacy of molecular response at 1 or 3 months after the initiation of dasatinib treatment can predict an improved response to dasatinib in imatinib-resistant or imatinib-intolerant Japanese patients with chronic myelogenous leukemia during the chronic phase.2014

    • 著者名/発表者名
      2.Inokuchi K, Kumagai T, Matsuki E, Ohashi K, Shinagawa A, Hatta Y, Takeuchi J, Yoshida C, Wakita H, Kozai Y, Shirasugi Y, Fujisawa S, Iwase O, Yano S, Okamoto S, Oba K, Sakamoto J, Sakamaki H
    • 雑誌名

      J Clin Exp Hematop

      巻: 54 ページ: 197,204

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Inhibition of S100A6 induces GVL effects in MLL/AF4-positive ALL in human PBMC-SCID mice.2014

    • 著者名/発表者名
      5.Tamai H, Miyake K, Yamaguchi H, Shimada T, Dan K, Inokuchi K
    • 雑誌名

      Bone Marrow Transplant

      巻: 49 ページ: 699、703

    • DOI

      10.1038/bmt.2014.18. Epub 2014 Mar 3.

    • 査読あり

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公開日: 2016-05-27  

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