研究課題/領域番号 |
26461440
|
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
舘野 馨 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (20532758)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 造血幹細胞移植学 / 遺伝子治療 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、難治性虚血性疾患に対する新しい細胞治療の開発である。我々はこれまでに、Notch リガンドであるJagged-1 を過剰発現させた骨髄有核細胞が、虚血組織において強力な筋・血管再生効果を有することを示してきた。しかし遺伝子導入細胞を用いた治療法は、安全性の担保において臨床応用のハードルが高い点が課題であった。一方、可溶性タンパクを用いた方法は、細胞膜上でclustering したJagged-1 を用いる場合と比較して効果が著しく劣る。これらの課題を克服するため、我々は無核細胞を用いた遺伝子導入細胞治療を考案した。すなわち①Jagged-1 遺伝子導入巨核球を作成し、②これが分化・脱核する過程で導入遺伝子を排除させ、③Jagged-1 を高発現した血小板を精製し、④虚血局所に投与する手法である。本研究はそのproof-of-concept を得るための基礎研究である。
平成26年度は、DNAVEC 社 CytoTune-iPS キットを用いて、ボランティアドナーの末梢血単核球からヒト由来iPS 細胞を樹立した。続いて既報の方法(N. Takayama et al. J Exp Med 207, 2817, 2010)を踏襲して巨核球および血小板の作成を試みているところである。これが成功した後に、ヒトiPS 細胞由来巨核球へのJagged-1 遺伝子導入法を確立し、これが血小板形成能に影響するか確認することとしている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
1.ボランティアドナー末梢血単核球からのヒト由来iPS 細胞樹立において、遺伝子導入ベクター(センダイウィルス)フリーのコロニーが得られず、実験が遅延した。
2.研究室内での管理業務が研究エフォートを圧迫し、当初予定した研究時間を十分に確保できなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
平成27年度は、研究室内での管理業務を他に移管することが可能となった。これにより、研究遂行のエフォートが上がり、研究の遅延を取り戻すことができるようになる見込みである。
|
次年度使用額が生じた理由 |
【現在までの達成度(Progress Status)】で報告のとおり、研究に遅延が生じている。このために、本来であれば平成26年度に行うはずであった実験(Tet-ON Lentivirus システムを用いた目的遺伝子導入法の開発、Flow cytometryを用いた分化細胞の検証など)が行われるに至っていない。
|
次年度使用額の使用計画 |
平成27年度は、これらの遅延を取り戻すためのエフォートが確保されており、平成26年度に未使用であった研究費は平成27年度に使用する予定である。具体的には、Tet-ON Lentivirus システムを用いた目的遺伝子導入法確立のための遺伝子導入試薬(800)、細胞培養メディウム(400)、Flow cytometryによる分化細胞の検証のための抗体類(500)、PCR試薬(300)を購入するために使用する予定である(単位:千円)。抗体類等の予算が当初より減額となっているのは、エフォート上昇により実験期間が短縮することから、試薬類の使用期限に対する考慮が不要となることを見込んでのことである。なお当初の予定では、平成27年度の後半には動物実験を行うところであったが、研究の進捗と試薬類の研究需要によっては、残念ながら平成28年度にずれ込む可能性がある。
|