研究実績の概要 |
慢性GVHDの新しい治療法の開発のために本研究を行っているが、これまで以下のことを行ってきた。1)慢性GVHDマウスモデルの作成した。準致死量の放射線550cGyを照射したBALB/cマウスにMHC一致でマイナー抗原不一致ドナーであるDBA/2マウスの脾細胞を移植することで慢性GVHDが2,3週で発症するモデルを確立した。 2)炎症性単球(M1)及び抗炎症性単球(M2)の2つのタイプの単球の細胞分画の解析法をフローサイトメーターを使って確立した。抗体はCD3,CD4,CD8,B220,DX1により各細胞分画を調べるとともに、単球/マクロファージのフェノタイプ同定にはGr1,CCR2,CXCR1を、機能的解析にはIL-10,IFN-γ, CCL2,CCL5,CCL18を使用して解析する。 3)M-CSF及びG-CSGの造血因子を使い、in vitroにおいてそれぞれM1、M2マクロファージの誘導をおこなった。 4)標的臓器である皮膚、腸管、肝臓の組織を免疫組織学的方法を使い、慢性GVHDの評価法を確立した。1次抗体としてはGr1,CCR2,CXCR1,CCL5,CCL18,IL-10等により浸潤細胞の性状の同定を行うとともに、細胞外マトリックスとしてFibronectinを染色して浸潤細胞との関わりを検証する。 5)マウスの末梢血を使って、Type 1サイトカンであるIFN-γ、Type 2であるIL-4、IL-13、調節性タイプであるIL-10、IL-22、Th17タイプであるIL-17のそれぞれの産生細胞を測定することを確立した。以上の5計画がなされ、概ね当初の計画通り進んでいる。上記と関連して論文1編と分担著書を執筆した。
|