研究課題/領域番号 |
26461444
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
前田 哲生 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00403064)
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研究分担者 |
金倉 譲 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20177489)
齊藤 則充 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教(常勤) (30597399) [辞退]
一井 倫子 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 寄附講座助教 (30633010)
織谷 健司 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70324762)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 免疫 / 炎症 / 骨髄微小環境 / リンパ球 |
研究実績の概要 |
マウスストローマ細胞株MS-5が産生するリンパ球産生調節候補分子として選別したosteoblast stimulating factor-5 (OSF-5)をIg-kappaプロモーター下にて発現するトランスジェニックキメラマウスは、preB細胞以降のBリンパ球が著明に減少していた。OSF-5には、分泌型と細胞内型の2種類のspliced variantが存在することから、それらの発現およびBリンパ球産生への影響を解析した。分泌型OSF-5は、骨髄ストローマ細胞、特に骨芽細胞や間葉系幹細胞において強い遺伝子発現が認められた。一方、細胞内型OSF-5遺伝子は、血球系細胞を中心に弱い発現が認められた。細胞内型OSF-5をリンパ球前駆細胞に過剰発現したが、Bリンパ球の産生には変化がなかった。分泌型OSF-5を精製しBリンパ球培養系に加えると、Bリンパ球の産生やコロニー形成が減少した。さらに、OSF-5発現をノックダウンしたOP9ストローマ細胞は、Bリンパ球産生支持能が亢進した。以上、骨髄ストローマ細胞から分泌されるOSF-5がマウスBリンパ球産生を負に制御することを明らかにした。また、同様の事象は、マウスだけでなく、ヒトにおいても認められた。 Signal-transducing adaptor protein-2 (STAP-2)欠損マウスでは、野生型マウスと比較して、DSS経口摂取によって誘導される腸炎が軽微であった。その原因として、STAP-2欠損マウスでは炎症巣(腸管)への炎症細胞浸潤が減少することを明らかにした。また、EBウイルス産物LMP1からのシグナルをSTAP-2が抑制することから、EBウイルス再活性化により惹起されるリンパ増殖腫瘍細胞におけるSTAP-2蛋白発現を解析するために、症例検体の収集を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新しい免疫調節候補分子であるOSF-5の生体内役割を明らかにすることが出来た。また、炎症性腸疾患モデルを用いて、生体内におけるSTAP-2の抗炎症作用を確認することが出来た。さらに、研究材料としての臨床検体の収集も進んだ。
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今後の研究の推進方策 |
現在のOSF-5に関するデータの論文化を目指していく。さらに、分泌型OSF-5が惹起するBリンパ球産生制御に関わるシグナルについて解析する。 STAP-2欠損マウスやトランスジェニックマウスを用いて、STAP-2の生体内における役割を引き続き解析していく。EBウイルス再活性化によるリンパ増殖性腫瘍の悪性度などへのSTAP-2の関与については、収集した臨床検体を用いて、免疫組織学的にSTAP-2発現を解析する。また、①BCR-ABLキメラ遺伝子による慢性骨髄性白血病発症および薬剤感受性、②造血幹細胞移植時のGVHD発症、に対するSTAP-2の関与について検討する。さらに、STAP-2と類似の構造を持ち、同様の機能を有すると考えられるSTAP-1の生体内役割についても解析を行う予定である。
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