研究課題/領域番号 |
26461444
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
前田 哲生 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00403064)
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研究分担者 |
金倉 譲 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20177489)
齊藤 則充 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30597399) [辞退]
一井 倫子 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 寄附講座助教 (30633010)
織谷 健司 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70324762)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | アダプター蛋白 / STAP / EBウイルス / リンパ腫 / 遺伝子多型 / シグナル |
研究実績の概要 |
STAP-2はEpstein-Barr (EB)ウイルスのLatent membrane protein1と結合することを報告しており、STAP-2発現がEVウイルス依存性細胞増殖を抑制する可能性を示してきた。今回、造血幹細胞移植後に発症したEBER陽性であるEBウイルス関連びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(EBV-DLBCL)および対象としてEBウイルスとは関連性を認めないDLBCL症例のリンパ節生検残余検体を用いて組織学的にSTAP-1やSTAP-2の蛋白発現を解析した。EBV-DLBCL細胞は、コントロールDLBCL細胞と比較して、STAP-1蛋白量が有為に低下していた。STAP-1プロモーター領域にはSNP3775862とSNP3806810の2箇所の遺伝子多型が存在しているため、EBV-DLBCL症例に特徴的な遺伝子配列の偏りが認められるかを解析した。結果、SNP3775862とSNP3806810ともに健常人で報告されている分布と同程度の比率で認められ、遺伝子多型によるSTAP-1発現低下ではなかった。以上、EBV-DLBCLでSTAP-1蛋白発現が低下していることを明らかにした。 正常造血器細胞におけるSTAP-1の遺伝子発現を解析した。STAP-1は、造血幹細胞でも高い発現が認められた。また、リンパ球でも発現が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
造血幹細胞移植後に発症したEBER陽性であるEBウイルス関連びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(EBV-DLBCL)において、STAP-1蛋白発現が低下していることを明らかに出来た。これは、STAP蛋白がEVウイルス依存性細胞増殖を抑制する可能性を提唱した我々の報告と合致するものである。また、STAP-1がEBV-DLBCLの一つの治療標的となる可能性が出てきた。
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今後の研究の推進方策 |
EBV-DLBCL細胞においてSTAP-1蛋白量が少ない原因について検討する。遺伝子多型によるものではないので、EBウイルス産物によるSTAP-1遺伝子発現に対する影響などを解析する。 慢性骨髄性白血病(CML)原因遺伝子異常BCR-ABLとSTAP-2の間の相互作用が実際にCML発症や病期進行にどのような影響を及ぼすかについて、STAP-2欠損(コントロールとして野生型)造血幹細胞にBCR-ABL遺伝子導入した後に、マウスへの移植実験を行う。白血病発祥などについて解析を進める。 STAP蛋白が標的となりうる造血器疾患を決定することを目的として、種々の造血器腫瘍細胞におけるSTAP-1/2の遺伝子発現を解析する。このように、STAP蛋白調節因子を標的とした治療対象疾患の検討を進めていく。
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