研究課題
レトロ・ウイルス・ベクター・システムによりBcr-Ablを過剰発現させた造血幹・前駆細胞(Lineage- Sca1+ cKitHi;LSK細胞)を致死量の放射線を照射したレシピエントマウスに移植する事で、慢性骨髄性白血病(Chronic Myeloid Leukemia; CML)を発症させる事が可能である。このマウスモデル実験系を用いて、CML発症後の生存期間をSTAP-2欠損(KO)とマウス野生型(WT)マウス群で比較したところ、STAP-2KOマウスの平均生存期間はWTと同等であった。イン・ビトロの検討では、以前報告した細胞株を用いた解析結果と一貫して、Bcr-Ablを過剰発現させたLSK細胞のコロニー形成能はSTAP-2欠損により低下した。またCMLマウスモデル骨髄内でのCML幹細胞の数はWTに比べ低下していた。一方興味深い事に、STAP-1 KOマウス由来細胞を用いた場合では、有意に生存が延長する結果が得られた。これらの結果を総合すると、STAP-2のCML病態への影響はSTAP-1発現により補正されている可能性、またはSTAP-2が主にCML白血病幹細胞を制御している可能性が考えられる。これらの仮説を検討するため、STAP-1ならびにSTAP-2のダブルKOマウスを用いたCMLモデルの作成と、STAP-2KOマウスを用いたBcr-Abl発現LSK細胞のシリアル移植をそれぞれ遂行中である。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件)
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