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2015 年度 実施状況報告書

Satb1レポーターマウスの作製とリンパ球初期分化の制御機構の解析

研究課題

研究課題/領域番号 26461445
研究機関大阪大学

研究代表者

土居 由貴子  大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (60722288)

研究分担者 金倉 譲  大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20177489)
横田 貴史  大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60403200)
織谷 健司  大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70324762)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード造血幹細胞 / SATB1 / リンパ球初期分化
研究実績の概要

1.SATB1発現レベルと分化決定時期との関係:前年度までに作成したSatb1-Tomatoレポーターマウスを用い、造血幹細胞のSatb1-Tomato陰性・陽性分画それぞれの分化コロニー形成能、血球分化誘導培養による系統別の分化能、他系統マウスへの移植による造血系再構築能の評価を行った。その結果、造血幹細胞のSATB1-Tomato陽性分画は、陰性分画に比べて高いリンパ球分化能を有している一方で、移植マウスの骨髄内において3ヶ月以上の長期にわたり造血を再構築する能力を有すること、またRNA-sequenceにより、SATB1陽性分画は陰性分画に比べてリンパ球分化に関与する遺伝子の発現が亢進している一方、Myeloid系血球の性質に関連する遺伝子発現は低下していることがわかった。ここまでの成果は、第57回米国血液学会にて発表した。
2.初期リンパ球分化におけるSatb1の機能解析:Bリンパ球系統特異的なSATB1ノックアウトを行うため、CD19-Creマウスを導入した。現在Satb1-floxマウスと交配中である。
3.Satb1が共役する核内蛋白の同定:1.で作製したレポーターマウスを用いた検討により、造血幹細胞分画におけるSATB1の発現量は、胸腺細胞などと比較して非常に少量であることが分かった。本年度は、免疫沈降の効率を向上させるため、内因性SATB1蛋白に人工のTagを付加したマウスを作製した。キメラマウスはすでに出生しており、wild typeマウスとの交配によりgermline transmissionにも成功している。現在、B6系統へのback crossを行っており、その中間段階の個体から細胞を採取しての条件検討を行っている。
4.SATB1が制御する遺伝子locusの同定:3.で述べた遺伝子改変マウスを作製した。現在、固定条件などの条件検討中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

申請時における平成26-27年度の計画として、以下の5つを予定した。
1. 分化時期と発現レベルの関係の解析 2. SATB1 と各分化系統特異的蛋白の関係 3. SATB1 と共役する蛋白の網羅的同定 4. SATB1 が制御する遺伝子 locus の網羅的同定 5. 胎生期造血における SATB1 の役割についての解析
1に関しては、Satb1-Tomatoレポーターマウスを用い、造血幹細胞がSatb1-Tomato陰性と陽性の2分画に大別でき、SATB1-Tomato陽性分画が陰性分画に比べて高いリンパ球分化能を有している一方で、長期造血再構築能力も有することが分かった。2に関しては、Tie2-creマウスのみならずCD19-creマウスとの交配を進め、現在解析にとりかかっている。3に関しては内因性SATB1蛋白に人工のTagを付加したマウスの作製を終了した。現在それらの骨髄中の造血幹・前駆細胞を採取して、免疫沈降の条件検討に着手している。4.に関しても、内因性SATB1蛋白に人工のTagを付加したマウスを用いて解析予定である。5に関しては、現在1~4それぞれの解析と並行して、胎仔肝臓における解析を進めている。以上のことから、本研究の進捗状況は、おおむね順調であると考えている。

今後の研究の推進方策

1、分化時期と発現レベルの関係の解析: 造血幹細胞におけるSatb1-Tomato陰性分画・陽性分画それぞれを移植したマウスからさらに骨髄細胞を回収し、レシピエントマウスへと移植する二次移植を行う。これにより、Satb1-Tomato陰性分画、陽性分画それぞれに含まれる長期造血再構築能を有する真の造血幹細胞の割合を検討する。
2、SATB1 と各分化系統特異的蛋白の関係 : Satb1-floxマウスにCD19-Creマウス、CD4-Creマウスを掛け合わせ、Bリンパ球・Tリンパ球特異的にSATB1欠損状態を誘導したマウスを作製し、解析を行う。
3、SATB1 と共役する蛋白の網羅的同定 : SATB1特異的抗体、あるいはSATB1-タグマウスを用いた共免疫沈降を行い、質量分析によってSATB1と相互作用している蛋白を網羅的に同定する。
4、SATB1 が制御する遺伝子 locus の網羅的同定 : SATB1-タグマウスから造血幹細胞を採取し、Chip-sequence assayを行う。そこから抽出されたSATB1結合遺伝子領域の情報とRNA-sequenceデータに基づき、SATB1によって制御を受ける遺伝子領域の絞り込みを行う。
5、胎生期造血における SATB1 の役割についての解析 : Satb1-floxマウスと、胎仔造血発生に必須とされるアンジオポエチン受容体Tie2のプロモーター制御下にCreを発現するマウスを交配して造血器系特異的なSATB1ノックアウトを行い、数的・質的変化の検討を行う。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2015

すべて 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] SATB1 Expression Marks Lymphoid-Lineage-Biased Hematopoietic Stem Cells in Mouse Bone Marrow2015

    • 著者名/発表者名
      Yukiko Doi, Takafumi Yokota, Tomohiko Ishibashi, Yusuke Satoh, Michiko Ichii, Akira Tanimura, Sachiko Ezoe, Hirohiko Shibayama, Kenji Oritani, Yuzuru Kanakura
    • 学会等名
      57th ASH annual meeting & Exposition
    • 発表場所
      Orange County Convention Center, Orlando, Florida, U. S. A.
    • 年月日
      2015-12-05 – 2015-12-08
    • 国際学会

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公開日: 2017-01-06  

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