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2014 年度 実施状況報告書

発作性夜間ヘモグロビン尿症患者のエクリズマブ治療反応性の検討

研究課題

研究課題/領域番号 26461447
研究機関大阪大学

研究代表者

西村 純一  大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80464246)

研究分担者 金倉 譲  大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20177489)
柴山 浩彦  大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (60346202)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード発作性夜間ヘモグロビン尿症 / 溶血 / エクリズマブ / 補体 / 遺伝子多型
研究実績の概要

エクリズマブ不応例の病態解析
これまでに本邦において345例にエクリズマブが投与され11例の不応例が確認され、全例でC5の単一ミスセンスヘテロ接合性変異c.2654G>Aを同定し、p.Arg885His多型が予測された。その後、400例を超す症例に投与され、さらに4例の不応例が確認されたが、いずれも日本型C5遺伝子多型であった。PNH患者におけるこの変異の保有率(3.8%)は、日本人健常者における保有率(3.5%)と同程度であった。この多型は漢民族集団においても同定された。エクリズマブ不応のアジア系アルゼンチン人患者の1例は、きわめて類似する変異c.2653C>Tを有し、p.Arg885Cysが予測された。in vitroで非変異C5、変異C5はいずれも溶血を引き起こしたが、エクリズマブと結合し、エクリズマブによって阻害されたのは非変異C5のみであった。in vitroにおける非変異C5、変異C5による溶血は、エクリズマブと異なるC5部位に結合するモノクローナル抗体を用いると完全に阻害された。以上のように、エクリズマブ不応例解析のシステムを構築した。
エクリズマブ反応不良例の病態解析
エクリズマブ投与後の血管外溶血顕在化解析のため、当院のエクリズマブ投与患者8例について、PNH型赤血球膜上のC3b蓄積の経過を追ったところ、当初の15ヶ月の観察では全例で増加傾向を認めていたが、その後の観察では頭打ちとなった(30~60%)。8例中唯一臨床的に血管外溶血が問題となっている症例では、IgGが低値(<500mg/dL)で原因不明の感染症を発症し、網内系が活性化(単球増加;20%→40%)し、貧血増悪を繰り返しているが、必ずしもC3b蓄積(30%)は多くなかった。エクリズマブ反応不良の要因は多岐に渡るので、症例ごとの詳細な解析が必要と思われた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

エクリズマブ不応例の病態解析
エクリズマブ不応例解析のシステムを構築したので、今後は世界各国からの不応例解析にも対応可能となり、不応例の病態解析を推進していく。
エクリズマブ反応不良例の病態解析
エクリズマブ反応不良例の実態調査については、ワーキンググループを立ち上げプロトコール作成に向けて準備を進めているが、観察研究として実施可能か、介入研究が不可避か、また予算面の問題もあり実現に至っていない。Human TPO Immunoassayキットを用いたTPO測定と多項目自動血球分析装置XE-5000を用いた網状血小板測定による骨髄不全症の解析については、順調にすすんでいる。

今後の研究の推進方策

エクリズマブ不応例の病態解析
世界各国からの不応例の病態解析を推進していくとともに、エクリズマブの適応拡大に伴い、非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)等に対する不応例についても積極的に対応していきたい。
エクリズマブ反応不良例の病態解析
反応不良については血管内溶血も考慮する必要があると考えられ、大阪大学医学部附属病院中央検査部との共同研究によるフローサイトメトリーを用いた尿ヘモジデリンの定量化とその他の臨床検査所見(LDH、ハプトグロビン、尿潜血、尿ヘモジデリン)を比較することにより解析していく。

  • 研究成果

    (13件)

すべて 2015 2014 その他

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件) 図書 (4件) 備考 (2件)

  • [雑誌論文] The C5 gene polymorphism in patients with PNH.2015

    • 著者名/発表者名
      Nishimura J, Kanakura Y.
    • 雑誌名

      Rinsho Ketsueki.

      巻: 56 ページ: 103-110

    • DOI

      10.11406/rinketsu.56.103.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] PNHにおけるエクリズマブ反応性2015

    • 著者名/発表者名
      西村純一
    • 雑誌名

      血液内科

      巻: 70 ページ: 229-234

  • [雑誌論文] 『難治性貧血の診療ガイド』「PNHの診断基準と診療の参照ガイド」改訂の要旨2014

    • 著者名/発表者名
      西村純一
    • 雑誌名

      PNH Frontier

      巻: 1 ページ: 30-35

  • [雑誌論文] C5の遺伝子多様体とエクリズマブに対する反応不良2014

    • 著者名/発表者名
      西村純一
    • 雑誌名

      感染・炎症・免疫

      巻: 44 ページ: 273-276

  • [雑誌論文] 発作性夜間ヘモグロビン尿症の診断と病態・治療の進歩2014

    • 著者名/発表者名
      西村純一
    • 雑誌名

      最新醫学

      巻: 69 ページ: 2096-2102

  • [学会発表] Genetic variants in C5 and poor response to eculizumab2014

    • 著者名/発表者名
      西村純一
    • 学会等名
      第76回日本血液学会学術集会
    • 発表場所
      大阪国際会議場, 大阪
    • 年月日
      2014-10-31
    • 招待講演
  • [学会発表] Genetic variants in C5 confers poor response to the anti-C5 monoclonal antibody eculizumab2014

    • 著者名/発表者名
      Nishimura J
    • 学会等名
      7th International Conference on Complement Therapeutics
    • 発表場所
      Aldemar Olympia Hotel, Olympia, Greece
    • 年月日
      2014-06-08
    • 招待講演
  • [図書] Annual Review 血液 20152015

    • 著者名/発表者名
      西村純一
    • 総ページ数
      286(71-76)
    • 出版者
      中外医学社
  • [図書] 今日の治療指針2015

    • 著者名/発表者名
      西村純一
    • 総ページ数
      1973(649-650)
    • 出版者
      医学書院
  • [図書] 新戦略による貧血治療2014

    • 著者名/発表者名
      西村純一
    • 総ページ数
      287(87-98)
    • 出版者
      中山書店
  • [図書] 臨床血液内科マニュアル2014

    • 著者名/発表者名
      江副幸子、西村純一
    • 総ページ数
      372(119-123)
    • 出版者
      南江堂
  • [備考] 大阪大学の研究の今

    • URL

      http://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2014/20140213_2

  • [備考] 大阪大学大学院医学系研究科・医学部 主要研究成果

    • URL

      http://www.med.osaka-u.ac.jp/jpn/activities/results/2014/001.html

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公開日: 2016-05-27  

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