研究課題
エクリズマブ不応例の病態解析本邦において500例超にエクリズマブが投与され17例の不応例が確認され、全例でC5の単一ミスセンスヘテロ接合性塩基置換c.2654G>A(p.Arg885His)を同定した。その後、50例中2例の不応例が確認されたが、いずれも日本型C5遺伝子多型であった。PNH患者におけるこの変異の保有率(3.5%)は、日本人健常者における保有率(3.5%)と同程度であった。エクリズマブ不応のアルゼンチン原住民(アジア系)患者の1例は、きわめて類似する多型c.2653C>T(p.Arg885Cys)を有していたが、新たにオランダ人に類似多型c.2653C>A,(p.Arg885Ser)が確認された。in vitroで野生型C5、変異C5はいずれも溶血を引き起こしたが、エクリズマブと結合し、エクリズマブによって阻害されたのは野生型C5のみであった。in vitroにおける野生型C5、変異C5による溶血は、エクリズマブと異なるC5部位に結合するモノクローナル抗体を用いると完全に阻害された。以上のように、エクリズマブ不応例解析のシステムを構築し稼働している。これらの結果は、標的分子の遺伝子多型が、抗体医薬の反応性を規定する極めて重要な因子であることを強く示唆した。エクリズマブ反応不良例の病態解析臨床的に血管外溶血が問題となっている1症例では、病巣不明の感染症を発症し、網内系が活性化(単球増加;20%→40%)し、貧血増悪を繰り返していたが、必ずしもC3b蓄積(30%)は多くなかった。IgGが低値(<500mg/dL)であったが、さらにB細胞が消失していることが判明し、さらにその原因となる遺伝子検索を進めている。エクリズマブ反応不良の要因は多岐に渡るので、症例ごとの詳細な解析が必要と思われた。
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http://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2014/20140213_2
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