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2014 年度 実施状況報告書

転写因子Foxf1aの造血幹細胞機構・疾患病態生理への関与

研究課題

研究課題/領域番号 26461452
研究機関自治医科大学

研究代表者

大森 司  自治医科大学, 医学部, 准教授 (70382843)

研究分担者 窓岩 清治  自治医科大学, 医学部, 講師 (70296119) [辞退]
西村 智  自治医科大学, 医学部, 教授 (80456136)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード造血幹細胞ニッチ
研究実績の概要

1) Foxf1aコンディショナルノックアウトマウスの作製:相同組換えが生じたES細胞株から最終的にFoxf1a flox/floxマウスが産出された.その後,巨核球,血小板特異的Cre発現を可能とするPF4-Creマウス,造血幹細胞での誘導性Cre発現を行うMx-Creマウス,および,心筋細胞特異的なMyh6-Creマウスと交配し,種々の臓器特異的Creマウスを得ている.さらにCAG-Creマウスとの交配により,Foxf1a+/-マウスを作製した.
2) 各組織,臓器におけるFoxf1aの発現:マウス各臓器からmRNAを採取し,Foxf1aの発現をリアルタイムRT-PCR法により検討した.様々な臓器にFoxf1aの発現を認めるが,特に肺組織へのFoxf1aの発現が極めて高かった.骨髄はFoxf1aの発現が低いものの,FACSにより分類したところ,主要な細胞であるリンパ球や骨髄球での発現は低く,造血幹細胞(c-kit+, Sca1-, Lineage-),および巨核球への高発現を認めた.
3)造血器悪性腫瘍での発現と機能:ヒト造血器悪性腫瘍由来細胞株(HL60, K562, Meg01,UT-7/TPO)ではmRNAの発現を認めなかったが,Foxf1aを強発現させるとMeg01やUT-7/TPOなどの巨核芽球系培養細胞で高度のアポトーシスを誘導した.他のK562やHL60などの細胞株では,この現象は認めず,Foxf1aの巨核球系細胞に特異的な役割も想定される.巨核芽球系急性白血病(M7)は現在も予後不良の疾患群であるために,このFoxf1aの生理機能を明らかにすることにより,同分子を標的とした新たな治療戦略に結びつく可能性がある.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

骨髄細胞におけるFloxf1aの発現を明らかとし,この結果を元にMx-Cre, PF4-Creとの予定した.Flox/floxマウスの産出を終了し,コンディショナルノック・アウトマウスの作製には交配に莫大な時間が費やされるが,すでにMx-CreやPF4-Creマウスとの交配によって臓器特異的Cre発現マウスが徐々に産出されてきている.Mx-Creマウスは,現段階では実験に用いるまでの産出が得られていないが,PF4-Creに関しては順調に産仔が得られており,平成27年度の前半には解析が終了すると思われる.また,造血器悪性腫瘍株でのアポトーシス誘導を観察したことから,今後,新たな抗腫瘍薬のターゲットとしての可能性も示唆されている.以上より,本研究は目的に対して順調に進行していると考えられる.

今後の研究の推進方策

Mx-Creマウスとの交配により,Mx-Cre: Foxf1aflox/floxマウスを作製した.Mx-Cre マウスはpoly(I.C)を投与することで骨髄系の細胞に効率良く発現が可能である.Poly(I.C)投与後の骨髄造血幹細胞の割合を検討し,競合的造血幹細胞移植を行い幹細胞の移植能や細胞遊走・細胞周期についてコントロールマウスと比較する.他の,造血幹細胞の機能評価は当研究室で確立している.さらに巨核球・血小板特異的欠損のためにPF4-Cre: Foxf1aflox/floxマウスを得た.本マウスを用いて,血小板数・巨核球数を評価し,巨核球造血・血小板産生,ならびにインテグリン依存性の血小板機能への関与を検討する.現在,目的となるマウス作製までは終了している.上記の結果を踏まえ,レーザー二光子顕微鏡を用い骨髄内の造血幹細胞の動態を直接観察し,骨髄微小環境での造血幹細胞の局在を評価する.また,造血幹細胞から巨核球への分化過程を可視化し,血小板産生を評価する.

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公開日: 2016-05-27  

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