研究課題/領域番号 |
26461453
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
松下 麻衣子 慶應義塾大学, 薬学部, 准教授 (10327520)
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研究分担者 |
服部 豊 慶應義塾大学, 薬学部, 教授 (20189575)
河上 裕 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (50161287)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 白血病幹細胞 / がん抗原 / CTL / エピジェネティクス / 脱メチル化剤 |
研究実績の概要 |
平成27年度は以下の研究成果を得た。 前年度に、HL60を含む血液腫瘍細胞株に5-アザシチジン(5-aza)を添加するとCXorf48遺伝子の発現量が増加することを証明したが、さらに他の代表的な脱メチル化剤である5-deoxycitidine(DAC)を添加して同様の検討を行ったところ、5-azacitidineより低濃度(100nM)でCXorf48遺伝子の発現が著明に増加した。また、正常細胞の中でも増殖能の高いPHA blastを作成し、同じく5-azaまたはDAC添加によるCXorf48遺伝子の発現の変化を検討したところ、同遺伝子の発現は変わらず、細胞増殖の有無に関わらず正常細胞におけるCXorf48遺伝子の発現は脱メチル化剤の影響を受けないことが証明できた。 次に、DACで48時間処理したKMS11細胞に対する、CXorf48特異的CTLの認識能を51Crアッセイを用いて検討したところ、DAC処理によるがん細胞認識能の増強は認められなかった。用いたCTLの活性が低かった可能性もあるため、今後、新たに誘導したCTLを用いてこの点に関して再検討する必要がある。 また、脱メチル化剤によるプロモーター領域のメチル化の影響をパイロシークエンス法で検討するために、プロモーター特異的なプライマーを5種設計し、PCR法にて目的配列の増幅を確認した。今後、これらのプライマーを用いてメチル化の定量を行っていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
脱メチル化剤による、血液がん細胞特異的なCXorf48遺伝子の発現上昇は確認することができたが、当初の予想に反して、脱メチル化剤で処理した血液がん細胞に対するCXorf48抗原特異的CTLの認識能の明らかな上昇が認められなかった。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、脱メチル化剤で処理した血液がん細胞に対するCXorf48抗原特異的CTLの認識能の変化について検討していくが、その際に、CXorf48抗原特異的CTLとして、抗原認識能の強い、CXorf48抗原特異的T細胞レセプター遺伝子を導入したCTLを用いることが有用であると考えられる。また、脱メチル化剤によるCXorf48遺伝子のメチル化について詳細な検討を進めて行く。
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