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2014 年度 実施状況報告書

造血幹細胞の発生後期にみられるゲノムワイドな転写抑制の機構とその意義

研究課題

研究課題/領域番号 26461454
研究機関順天堂大学

研究代表者

横溝 智雅  順天堂大学, 医学部, 特任助教 (80590314)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード造血発生 / 造血幹細胞
研究実績の概要

本研究は、マウス胎仔期において、造血幹細胞がどのように産まれてくるのかを明らかにすることを目的としており、とくに幹細胞性の獲得と転写抑制との関係に焦点を当てて進められている。幹細胞性獲得メカニズムの解明は、いまだ達成されていない造血幹細胞の試験管内誘導や長期培養技術の開発につながっていくと考えられる。
造血幹細胞は胎仔期に血管内皮細胞から産まれることが知られているが、血管内皮細胞から産み出された直後の血液細胞(前駆細胞)は、まだ幹細胞としての能力を持たず、これらが造血幹細胞になるためにはさらなる成熟過程が必要とされている。
これまでの研究では、前駆細胞から造血幹細胞への成熟過程において、mRNA量が大幅に減少することを明らかにしている。この結果は、造血幹細胞が産まれる際にゲノム全体に及ぶ転写抑制が起きていることを示唆していることから、まずこれを別の手法を用いて確認する実験をおこなった。
RNAポリメラーゼIIのリン酸化(転写伸長の指標となる)について免疫染色法を用いて調べたところ、造血幹細胞では、前駆細胞に比べてリン酸化の程度が減少していることが分かった。さらに、電子顕微鏡を用いてクロマチン構造を調べたところ、転写抑制の指標となるヘテロクロマチン領域が造血幹細胞において増加している傾向が見られた。これらの結果は、当初の予想どおり、造血幹細胞への成熟過程で実際に転写の抑制が起こっていることを示している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初計画にあった免疫染色のなかで、RNAポリメラーゼIIのリン酸化についてはおこなわれ結果が得られたが、抗5-mC抗体(DNAメチル化)、抗H3K27Me3抗体(ヒストン修飾)、抗H3K9Me2抗体(ヒストン修飾)についてはまだおこなわれていない。免疫染色後の定量化が当初想定していたよりも難しく、アッセイ系の構築に時間がかかったのが理由である。

今後の研究の推進方策

本研究計画の開始前は、前駆細胞から造血幹細胞への成熟過程において転写抑制が起こっていることを示唆する結果のみ得られていたが、計画開始後、これを裏付ける結果(RNAポリメラーゼIIのリン酸化の減少、ヘテロクロマチン領域の増加)が得られたことから、方向性は変えずに研究を進めていく予定である。

次年度使用額が生じた理由

免疫染色の定量化が当初想定していたよりも難しく、アッセイ系の構築に時間がかかり、初年度計画していた抗5-mC抗体(DNAメチル化)、抗H3K27Me3抗体(ヒストン修飾)、抗H3K9Me2抗体(ヒストン修飾)の免疫染色、およびそれ以降の解析に進めなかったため。

次年度使用額の使用計画

抗5-mC抗体(DNAメチル化)、抗H3K27Me3抗体(ヒストン修飾)、抗H3K9Me2抗体(ヒストン修飾)の免疫染色、およびそれ以降の解析に使用する。

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公開日: 2016-05-27  

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