研究課題/領域番号 |
26461460
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
鈴木 浩太郎 千葉大学, 医学部附属病院, 講師 (90554634)
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研究分担者 |
池田 啓 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (10456014)
廣瀬 晃一 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90400887)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | BCL-3 / Tfh細胞 / BCL-6 |
研究実績の概要 |
本申請研究では、BCL-3による濾胞ヘルパーT細胞分化誘導機構の分子メカニズムとCD4陽性T細胞内BCL-3の関節リウマチの病態における役割を明らかにし、BCL-3、或はその標的分子をターゲットとした関節リウマチの新規治療法開発に向けた基盤を確立することを目的としている。本年度も引き続き、濾胞ヘルパーT細胞の分化、或は機能発現におけるBCL-3の役割について解析した。 BCL-3のCD4陽性T細胞分化における役割を明らかにするために、卵白アルブミン(OVA)特異的なT細胞レセプターを発現するDO11.10マウス由来のナイーブCD4陽性T細胞を単離し、レトロウイルスを用いてBCL-3を遺伝子導入し、感染細胞を野生型マウスに移植し、OVAを免疫してBCL-3を発現しているCD4陽性T細胞の分化について調べたところ、BCL-3を導入した細胞はコントロールの細胞に比して有意に多数の濾胞ヘルパーT細胞に分化していた。さらに、BCL-3による濾胞ヘルパーT細胞分化の分子メカニズムについて明らかにするために、マウスナイーブCD4陽性T細胞にレトロウイルスを用いてBCL-3を遺伝子導入し、RNAシークエンシング法によりトランスクリプトーム解析を行ってところ、濾胞ヘルパーT細胞分化におけるマスター遺伝子と考えられているBCL-6の発現が誘導されていることを見いだした。BCL-3によるBCL-6の誘導に関しては、定量的PCR法やフローサイトメトリーによっても同様な結果をえた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度はin vivoの実験系により得られた結果(BCL-3が濾胞ヘルパーT細胞分化において促進的に働いている。)のリピートと、その分子メカニズムについても、網羅的転写産物解析によりアドレスすることに成功したと考えられる。BCL-3によるBCL-6の誘導に関しては、RNAレベルのみならず、タンパクレベルにおいても確認されている。以上より本年度えた上記研究成果は、研究の目的の達成度としてはおおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
これまで、in vivoの実験系によりBCL-3が濾胞ヘルパーT細胞分化に重要な役割を果たしていること、さらにBCL-3が濾胞ヘルパーT細胞分化のマスター遺伝子であるBCL-6の発現を誘導していることを明らかにしてきた。今後は、BCL-3によるBCL-6の発現誘導の分子メカニズムを明らかにするために、BCL-3によるBCL-6プロモーターの活性化や、BCL-3のBCL-6プロモーターへの結合、さらに、BCL-3遺伝子をノックダウンした場合のBCL-6発現誘導への影響などにつき検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していたChIPシークエンシング法による遺伝子解析のための検体準備が若干遅延したため一部の物品費が来年度に繰り越しとなった。
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次年度使用額の使用計画 |
物品費として使用する。
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