研究課題
自己免疫疾患の病態には、IL-6とTGF-βにより誘導され転写因子RORγtを発現しIL-17やIL-21を産生することにより病態の惹起に寄与するTh17細胞と、転写因子Foxp3を発現し抑制性に機能するTreg細胞との分化バランスが深く関与する。本研究者はIL-6によりT細胞で発現誘導される遺伝子の網羅的解析を行い、Th17細胞にc-MafとSoxDファミリーに属する転写因子Sox5が高発現していることを見いだした。そして、1) T細胞特異的Sox5欠損マウスではRORγtの発現とTh17細胞の分化が減弱し実験的自己免疫性脳脊髄炎や遅延型過敏症の発症が抑制されること、2) Sox5とc-MafがRORγtプロモーターに協調的に作用しRORγtの発現を増強しTh17細胞の分化を誘導することを明らかにした。一方、CD4陽性T細胞にはSox5以外にSoxCファミリーに属する転写因子Sox4とSox12が発現している。本研究者は炎症環境下のTreg細胞にSox12が発現すること、T細胞レセプター刺激によりNFATc1がSox12プロモーターに結合することによりSox12の発現を誘導することを見出した。さらに野生型またはSox12欠損ナイーブCD4陽性T細胞を免疫不全マウスに移入することにより惹起される腸炎の発症と末梢性のTreg細胞分化を検討した。その結果、Sox12欠損ナイーブCD4陽性T細胞移入群では、野生型ナイーブCD4陽性T細胞移入群と比較して、有意に体重が減少すること、脾臓及び腸管膜リンパ節におけるFoxp3陽性T細胞数が有意に減少するが、活性化CD4T細胞からのサイトカイン産生は変わらないことが明らかとなった。これらの結果、Sox12は炎症環境下での末梢性のFoxp3陽性Treg細胞分化に必要であることが明らかとなった。
すべて 2017 2016 その他
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 謝辞記載あり 3件、 オープンアクセス 1件) 備考 (1件)
J Allergy Clin Immunol.
巻: 139 ページ: 1355-1367
10.1016/j.jaci.2016.08.022.
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
10.1016/j.jaci.2016.10.047.
Allergy
10.1111/all.13079.
J Invest Dermatol.
巻: 136 ページ: 649-57
10.1016/j.jid.2015.12.010.
http://www.m.chiba-u.jp/class/allergy/research/index.html