研究課題
既存の抗”マウスエフリン受容体チロシンキナーゼ”抗体が、マウス形質細胞様樹状細胞(pCD)の機能を調節する事ができるか明らかにするために、以下の実験を計画した。まず、野生型マウス(C57BL/6N)から骨髄細胞を採取し、Flt-3 ligandを含む培地で培養することにより骨髄由来樹状細胞を分化誘導する。この細胞集団にはpCDが1割程度含まれるので、そのまま用いる。樹状細胞浮遊液へTLR7リガンドのPolyUとLipofectamine 2000の複合体、あるいはTLR9リガンドのCpG DNA (D19)を加えpDC刺激を行う時に、抗体を加える。24時間後の培養上清中のⅠ型インターフェロン-αおよび、炎症性サイトカイン(IL-12p40)濃度をELISA法で測定し、pDCの反応性を調べる計画であった。しかし、生きた細胞に添加できる抗体(Functional Assay用抗体)を入手できなかったため、上記の検討は行えていない。そのため、計画を変更しマウスモノクローナル抗体の作成を進めている。抗原としてエフリン受容体細胞外領域とヒトIgGのFc領域融合タンパク質を用いた。抗体クローンの1次スクリーニングは、FLAGタグを付けたエフリン受容体細胞外領域を用いELISAを行い、2次スクリーニングは、エフリン受容体を発現させたHEK293T細胞を用い、細胞表面に結合することができる抗体クローンを、フローサイトメトリーにより選出中である。エフリン受容体チロシンキナーゼ遺伝子座に「ジフテリア毒素受容体-GFP融合タンパク質」遺伝子をノックインしたマウス系統を作成するための、組換えES細胞クローンを既に得ていたが、germlineに乗らなかったためノックアウトマウスを得ていない。そのため、遺伝子欠損マウスをCrispr/cas9システムを用いて作製中である。
4: 遅れている
既存の抗マウスエフリン受容体抗体に、フローサイトメトリー用抗体はあるが、Functional Assay用抗体が用意されてなかった。また、抗体を産生するハイブリドーマについても入手不可能であった。そのため、抗体を用いるpDCの機能調節実験が進んでいない。それ故、新たにモノクローナル抗体を作成している。ジフテリア毒素受容体-GFP融合タンパク質ノックインマウス系統を作成するために、新たにES細胞クローンを取り直している。また、研究を早く進めるために、Crispr/cas9システムを用いて、エフリン受容体チロシンキナーゼ遺伝子破壊マウスも作成している。
pDCにおけるエフリン受容体チロシンキナーゼの意義を明らかにするため、引き続き、遺伝子欠損マウス系統を作成し、解析を行う事を計画している。また、pDCの細胞表面に結合可能な、抗”エフリン受容体チロシンキナーゼ”モノクローナル抗体を作成し、pDCの機能を調節することが可能か検討する。pDCにおけるエフリン受容体チロシンキナーゼの機能とSLE症状の関係について検討するために、鉱物油成分プリスタンを使用するSLE症状マウスモデルを確立する。
実験計画に変更が生じたため予定していた実験が実施できず、次年度使用額が生じた。
今後の研究の推進方策に基づき、平成27年度助成金と合わせて使用する予定である。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)
J Exp Med
巻: 211 ページ: 2425-2438
10.1084/jem.20141207
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