研究課題
今年度は、抗”エフリン受容体チロシンキナーゼ”モノクローナル抗体を新たに用意し、その特異性と樹状細胞に対する機能について解析した。C57BL/6Nマウスの骨髄細胞をFlt-3 ligandを含む培地で培養することにより、骨髄由来樹状細胞を分化誘導した。この細胞集団には形質細胞様樹状細胞(pDC)が1~2割程度含まれる。抗体染色後にフローサイトメトリー解析を行った結果、既存の市販抗体と同様にpDCの染色が確認された。マウス免疫組織内のpDCについては、順次確認中である。また、新規モノクローナル抗体によりpDCのサイトカイン産生が影響を受けるか検討した。上述の骨髄由来樹状細胞と抗体をin vitroでプレインキュベーション後に、TLR7リガンド、あるいはTLR9リガンドで刺激を行い、24時間後に培養上清中のインターフェロン-αおよびIL-12p40濃度をELISA法で測定した。これまでに、抗体を添加してもサイトカイン産生に変化が見られない結果を得ている。エフリン受容体のpDCにおける機能を明らかにするために、遺伝子欠損マウス系統を作成中である。
3: やや遅れている
市販の抗エフリン受容体モノクローナル抗体は、Functional Assayに使用できないため、新たにモノクローナル抗体を用意した。また、マウス胚にCrispr/Cas9系をマイクロインジェクションする方法により、遺伝子欠損マウス系統を作成する実験系を自前で立ち上げているために期間を要した。実施第1号として、エフリン受容体遺伝子欠損マウスを作成している。これらの理由から、研究の進捗に遅れが生じている。
pDCにおけるエフリン受容体の機能的意義について、遺伝子欠損マウス系統について、pDCの発生分化やサイトカイン産生などの解析を行う。また、抗エフリン受容体モノクローナル抗体を用いて、in vivoでpDCの機能を調節することが可能か検討する。特に、抗体にpDCの細胞死を誘導する機能を持たせるために、2次的な修飾を考えている。前年度計画から引き続き、鉱物油成分プリスタンを使用するSLE病態モデルマウスを確立する。モノクローナル抗体によるpDCの除去が可能な場合は、このモデルマウスを用いて、抗体投与によるSLE病態の変化について調べる。
計画の遅れに伴い、予定していた実験が遅延している。そのため、次年度使用額が生じた。
今後の実験計画に基づき、平成28年度助成金と合わせて使用する。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (1件)
Scientific Reports
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