研究実績の概要 |
抗エフリン受容体チロシンキナーゼモノクローナル抗体の特異性を確認するために、C57BL/6Nマウスの免疫組織に存在する免疫細胞の抗体染色を行い、フローサイトメトリーで解析した。使用した抗体は、脾臓および骨髄に存在する形質細胞様樹状細胞(pDC)のみに特異的に結合した。また、肝臓に存在する樹状細胞についても調べた結果、同抗体はpDCのみに結合する事が明らかとなった。すべてのpDCがエフリン受容体チロシンキナーゼを発現していることも明らかとなった。更に、マウス脾臓pDCの1細胞当たりの抗体結合数を測定した結果、約1万個の抗体が結合できる事が明らかとなった。 エフリン受容体のpDCにおける機能を明らかにするために、エフリン受容体遺伝子ノックアウトマウスの作成を行った。エフリン受容体遺伝子のゲノムDNA配列(exon 1)に、20塩基の標的配列を設定し、この20塩基対DNAを挿入したプラスミド(pX330, Addgene #42230)を構築した。次に、そのプラスミドをマウス受精卵にマイクロインジェクションすることで、ノックアウトマウス系統を得た。標的配列を2種類設計し、標的1については1塩基挿入の変異、また標的2については8塩基欠失の変異が得られている。これら変異により、ORFにフレームシフト変異が生じるため、ノックアウトマウスを作成することができた。 細胞毒素(メイタンシノイド薬)を標識した抗エフリン受容体モノクローナル抗体存在下で、pDCのサイトカイン産生が影響を受けるか検討した。抗体と骨髄由来樹状細胞をin vitroでプレインキュベーション後に、TLR7リガンド、あるいはTLR9リガンドで刺激を行ったが、培養上清中に産生されるインターフェロン-αおよびIL-12p40濃度に変化は見られず、細胞毒素の効果は確認できていない。
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