研究課題
線維筋痛症は全身性の強い慢性疼痛を主訴とする疾患であり、加えて炎症性症状、鬱・倦怠感、筋拘縮といった多岐にわたる症状を呈する。発症原因は不明のままであり、根本的な治療法の確立されていない難治性の疾患である。近年、線維筋痛症患者でミトコンドリア不全が認められること、抑制性の神経伝達物質 GABA 類似の薬剤が疼痛抑制に効果を示すことが明らかにされている。本研究では線維筋痛症モデルマウスを作製し個体内での病因病態解析を目指している。小胞体ストレス分解と抗疼痛薬との関連にも注目している。近年、臨床においてワクチン投与により副反応として神経障害および疼痛といった線維筋痛症様の症状を引き起こすことが示唆されている。そこでマウスにワクチンを投与し線維筋痛症様の症状を呈するモデルマウスの作製を試みた。その結果、脳脊髄炎モデルマウスでみられるような脱力といった運動障害を示す個体が検出された。同個体は筋力には影響がないが運動協調性の低下を示すことも確認された。さらに視床および視床下部周辺の血管内皮細胞で特にアポトーシス陽性細胞が検出され、神経伝達物質の組織染色により GABA およびドーパミンシグナル伝達系への影響が示唆された。同モデルマウスの大脳における小胞体ストレスに重要な因子シノビオリンの発現量を検討したが差は認められなかった。これらの結果から線維筋痛症様の症状に視床下部の機能が関与していることが示唆された。
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