研究課題
本年度は、NCRP3インフラマソームの活性化を誘導する分子メカニズムについて詳細な解析を行った。ヒト好中球を血清アミロイドA (SAA)で刺激するとPro-IL-IβのmRNAの発現が誘導され、さらにPro-IL-Iβから活性型のcleaved IL-Iβが誘導される。このプロセスにおいてSAAの刺激によりcaspase-1が切断され、活性型のcaspase-1およびcleaved IL-Iβが産生されることをイムノブロットで確認した。さらにSAA刺激によりcaspase-4が切断されcleaved caspase-4が誘導されること、caspase-4の阻害剤によりcaspase-1の活性化とPro-IL-Iβのプロセシングが抑制されることによりインフラマソームの活性化機構において、caspase-4がcaspase-1の上流にあり、caspase-1の活性化を制御していることを明らかにした。今後、インフラマソーム活性化シグナルの上流に位置するcaspase-4を操作することで、好中球のインフラマソームの活性化、IL-Iβの分泌をコントロールできることを示した。
2: おおむね順調に進展している
新たなインフラマソーム活性化経路を見出し低分子化合物を用い、IL-Iβの産生をコントロールする方法を見い出した。
caspase-1の活性化シグナルの上流にcaspase-4以外のcaspaseファミリー(caspase-5 etc) がないかを検討し、インフラマソーム活性化経路の詳細を明らかにし、これら上流のシグナル分子を低分子化合物を用い阻害することで、新たなIL-Iβ阻害療法を確立する。
初年度は、実験系の確立に重点を置いたため、シグナル伝達の解析、遺伝子解析、サイトカイン測定など費用を要する実験を行うことができなかった。次年度にこれら多額の費用を要する研究を行う予定である。
本年度明らかにしたインフラマソーム活性化経路に焦点をあて、これの経路の中心となっている分子を同定し、その阻害方法を確立させ、新たなIL-Iβの阻害療法を確立する
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件)
PLoS One
巻: 10 ページ: e0136908
10.1371/journal.pone.0136908.