研究課題
IL-1は、様々な自己炎症疾患を含めた炎症疾患の病態に関与している。その中でも、最も頻度の高い疾患は、生活習慣病である痛風である。痛風は、尿酸結晶が関節内に析出して、NLRP3インフラマソームを活性化し、最終的に活性型のIL-1βが誘導され、関節炎が発症する。しかし、尿酸結晶によるインフラマソームの活性化機序は十分わかっていない。痛風性関節炎の炎症局所に浸潤している好中球を用いて、尿酸によるIL-1βの誘導を検討した。その結果、尿酸単独で好中球を刺激しても、インフラマソームの活性化、IL-1βの産生は誘導されず、TNF-αで好中球をプライミングし尿酸で刺激すると大量のIL-1βが産生されることがわかった。NLRP3の活性化には、プライミングが必要とされており、今回TNF-αがそのプライミング効果があることを明らかにした。自己炎症病態においては、TNF-αとIL-1βの間にクロストークが存在し、これらサイトカインネットワークによってインフラマソームが活性化され、IL-1βが誘導され炎症が惹起されることがわかった。
2: おおむね順調に進展している
痛風におけるインフラマソーム活性化機構を明らかにして、インフラマソームの活性化、IL-1βの誘導には、他のサイトカインのプライミングが必要であることを示したため。
インフラマソームのプライミングとその後の活性化にどのようなサイトカインネットワークが必要か詳細に解析し、IL-1βの誘導をブロックできる標的分子を明らかにする。
本年度、siRNAを用いた遺伝子改変を伴う解析を行うことができず、次年度にこれらの研究を行う。
NLRP3、caspase-1に対するsiRNAを産生し、これらインフラマソーム分子をノックダウンすることで、IL-1βの産生がブロックできるかを検討する。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)
Arthritis Res Ther
巻: 18 ページ: 1071-5
10.1186/s13075-016-1071-5