本年度は、これまでの検討で、アレルギー反応において司令塔的役割を果たす樹状細胞に発現を確認済みのRab27関連分子に焦点をあてて、アレルギー反応におけるその役割を明らかにすべく各種検討を行った。 昨年度までの検討で、その遺伝子欠損マウスで喘息様気道炎症が増悪し、更に、その遺伝子欠損マウス由来の樹状細胞においてTh1応答誘導能の低下を認めた分子に関して、まず、樹状細胞におけるその機能の解明を試みた。そして、樹状細胞におけるその欠損は、IL-12の産生には影響を与えないが、IL-12p70の分泌を有意に低下させるという結果を得た。一方、Th細胞や好塩基球でもこの分子が発現することを確認済みであったが、これらの細胞では、この分子の欠損に伴う明らかな細胞機能の変化は確認できなかった。以上から、この分子の欠損により、樹状細胞からのIL-12分泌低下に伴いTh1応答が減弱し、その結果、Th2応答が亢進するという機序が推測された。 樹状細胞に発現を認め、更に、その欠損マウスで喘息様アレルギー性気道炎症が減弱することを確認済みの他の分子に関しても、同様の検討を行った。そして、この分子の欠損により、抗原特異的Th2応答が減弱し、また、樹状細胞機能には変化は認めないが、骨髄細胞からIL-3存在下で分化誘導される好塩基球の数が減少し、更に好塩基球からのIL-3刺激時のIL-4分泌能も低下することを確認した。すなわち、この分子は好塩基球の数や機能を制御しており、その欠損は、好塩基球数や機能の低下につながり、その結果、Th2応答が減弱するという機序が推測された。 以上、本申請研究により、様々なRab27関連分子が、アレルギー応答の成立に必須な各種免疫細胞の多種多様な細胞機能の制御に関与し、その結果、アレルギー反応全体の制御において極めて重要な役割を果たしていることが、明らかになりつつある。
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