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2015 年度 実施状況報告書

IL33受容体ST2遺伝子の発現制御によるアレルギー反応の抑制

研究課題

研究課題/領域番号 26461494
研究機関順天堂大学

研究代表者

前田 啓子  順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20053374)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワードST2 / アレルギー / IL33 レセプター
研究実績の概要

可溶型IL33レセプターsST2はマスト細胞から産生され細胞膜に発現しているレセプターST2LにIL33が結合するのを阻害するデコイレセプターとして知られ、免疫反応によって引き起こされる炎症反応を低下させる分子として期待されている。炎症抑制効果について検討するためイムノグロブリン Fc部分融合 sST2 (sST2-Fc) を作成しBMMCを用いてIL33によるサイトカイン産生に及ぼす効果を検討した。BMMC培養上清にST2-Fc を加えることによりIL33によるTNFα, IL6産生は低下した。そこでsST2によるデコイレセプターとしての利用を目的にsST2産生メカニズムを明らかにするためBMMCを用いて解析を行った。sST2はIL33/ST2Lの他にもc-kit(SCF レセプター)、FcεRIなどからの刺激により細胞外に産生される量が増加し、これらを同時に加えことにより協調的に作用しsST2産生はさらに増加する。IL33刺激によるsST2 mRNAの発現は4時間をピークに増加しその後減少するが、FcεRIからの刺激によるmRNA発現は1時間で増加しその後減少した。また培養上清のsST2濃度は刺激後24時間後まで増加した。一方細胞表面のST2L発現はほとんど影響をうけなかった。FcεRIはNFAT/AP1、ST2LはMyD88/IRAK/TAK1/NFkBを介してサイトカイン産生に関与することが報告されているがIL33とFcεRIからのシグナルにおけるsST2 mRNA発現のメカニズムは異なることが示唆された。sST2の発現に関与するメカニズムについては不明な点が多く残されておりさらに解析が必要である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ST2遺伝子からは膜型ST2Lと可溶型sST2が発現する。それぞれの発現調節、シグナル伝達を解析し発現、伝達を低下させIL33結合によるマスト細胞からのサイトカイン、ケモカイン産生を減少させることにより炎症反応を低下させることを目的に研究を行っている。sST2-Fcを細胞培養上清に加えることによりIL33/ST2L結合が阻害されサイトカイン産生は低下する。またST2LあるいはFcεRI からの刺激の違いによりsST2 mRNA発現までの時間経過が異なっていることからsST2産生に関与するST2LとFcεRIのシグナル伝達経路は異なっていると考えられることから、これらに関与するシグナル伝達物質、転写因子についてはさらに解析する。またIL33、FcεRIによる刺激後短時間でsST2が細胞外に放出されることからsST2は細胞内にタンパク質として存在すると考えられる。顆粒中に存在するかどうかは不明であるがsST2はどのような作用を担っているか、またFcεRIによる脱顆粒との関連について検討を加える。

今後の研究の推進方策

IL33シグナルはマスト細胞においてサイトカイン、ケモカイン産生以外にも細胞の分化、成熟、活性化に関わっておりST2がどのような作用を担っているかについては多くの報告がなされている。アレルギー反応においてもST2L、FcεRIからのシグナルによる様々なサイトカインのmRNA発現メカニズムについて多くの報告があるがsST2発現調節のメカニズムについては不明な点が多く残されている。sST2産生に至るまでのST2LとFcεRIからのシグナル伝達はmRNA発現までの時間に違いがあることから伝達経路が異なっていることが示唆される。これらの刺激に対する反応を阻害剤等を用いて比較検討しsST2産生に必要なシグナル伝達物質、転写因子を明らかにする。また刺激からmRNA発現に至るまでの短時間にsST2が細胞外に放出されることから細胞内にタンパク質として存在している可能性が示唆された。sST2を過剰発現させたBMMCを用いsST2の細胞内での局在、役割、脱顆粒との関連について検討する。さらにsST2ノックアウトマウスを作成予定でありこのマウスを用いてアレルギー、自己免疫疾患モデルなどにおける血中でのsST2濃度増加により引き起こされる影響、作用等についても検討する。

次年度使用額が生じた理由

物品費はマウスST2、サイトカイン濃度測定用キット、RNA定量用プローブの 購入費用として多くを使用したが、学会出張費を使用しなかったため差異が生じた。

次年度使用額の使用計画

マウスST2、サイトカイン濃度測定用キット、RNA定量用プローブ、シグナル伝達阻害剤等を使用する計画である。またノックアウトマウスが完成した後にはBMMCを作製、解析を行う予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2015

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Involvement of PU.1 in NFATc1 promoter function in osteoclast development,2015

    • 著者名/発表者名
      Ishiyama, K., Yashiro, T., Nakano, N., Kasakura, K., Miura, R., Hara, M., Kawai, F., Maeda, K., Tamura, N., Okumura, K., Ogawa, H., Takasaki, Y., Nishiyama, C.
    • 雑誌名

      Allergol. Int.

      巻: 64 ページ: 241-247

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] The transcription factor Ehf is involved in TGF-β-induced suppression of FcεRI and c-kit expression and FcεRI-mediated activation in mast cells2015

    • 著者名/発表者名
      Yamazaki, S., Nakano, N., Honjo, A., Hara, M., Maeda, K., Nishiyama, C., Kitaura, J., Ohtuka, Y., Okumura, K., Ogawa, H., Shimizu
    • 雑誌名

      J. Immunol.

      巻: 195 ページ: 3427-3435

    • DOI

      10.4049/jimmunol.1402856

    • 査読あり

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公開日: 2017-01-06  

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