研究課題
本研究の目的は、麻黄に含まれるケモカイン受容体アンタゴニスト活性の解析およびアレルギー疾患モデル動物を用いた治療効果の解析を通じて、麻黄含有漢方方剤の免疫修飾作用および抗アレルギー作用を科学的に解析することにある。研究代表者はこれまでに、富山大学和漢医薬学研究所が所有する和漢薬ライブラリーを用い、細胞遊走阻害活性を指標としたケモカインアンタゴニストの探索を行ってきた。そして本研究において、19種のケモカイン受容体の安定発現細胞株を用いた細胞遊走阻害を指標とした網羅的探索により、麻黄エキスがケモカイン受容体CCR3、CCR4、およびCCR8特異的なアンタゴニスト活性を示し、そのアンタゴニスト活性が麻黄エキスの酢酸エチル非可溶性分画に存在することを明らかとした。平成28年度は、5種類のCCR3リガンドならびに2種類のCCR4リガンドを用いて同様に細胞遊走阻害活性を評価した。その結果、どのリガンドを用いた場合においても麻黄エキスによる阻害活性が認められたことから、このアンタゴニスト成分による阻害活性にリガンド特異性はなく、これらの受容体を直接阻害することが示唆された。また、麻黄の主成分であり、すでに抗アレルギー作用が知られているエフェドリンについては、CCR3、CCR4、およびCCR8に対して有意な細胞遊走阻害活性は認められなかった。ケモカイン受容体CCR3、CCR4、およびCCR8は、いずれもTh2細胞あるいは好酸球や好塩基球に選択的に発現することから、アレルギー性疾患において重要な役割を果たすと考えられる。
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