研究実績の概要 |
前年度の成果をふまえ、マラリア原虫(Plasmodium berghei, Pb)感染マウス赤血球と赤内型原虫に検出されるスカベンジャー受容体の由来につき、研究をおこなった。 CD36ノックアウトマウスにPbを感染させたところ、感染赤血球にも、Pbにも、CD36は検出できなくなってしまった。よって、「CD36」はマウス由来のauthentic CD36であると考えられた。また、CD36ノックアウトマウスから骨髄移植した(hematopoietic cellのみCD36を欠失している)コンジェニックマウスにPbを感染させたところ、同様にCD36は検出されなくなった。すなわち、「CD36」はマウスのhematopoietic cellに由来していると推定された。さらに、非感染赤血球からはCD36は殆ど検出されなかったので、「CD36」の由来は恐らく単球系細胞または血小板であろうと推測された。 一方、感染赤血球の免疫染色により、CD41が明瞭に検出された。さらにこのCD41はCD36と経時的なふるまいが非常に類似しており、空間的にもほぼ重なっていることが判明した。CD41は本来は血小板あるいは巨核球系細胞に特異的な膜タンパクであり、この現象を最も矛盾なく説明できる仮説として、「血小板由来のCD36/CD41二重陽性エクソソームが、これらの膜タンパクを感染赤血球さらに内部の原虫に輸送している」ことが想定された。 これを検証すべく、感染マウス血漿からエクソソームを単離精製したサンプルの解析をおこなった。まず感染後5,8日でCD36とCD4が各々増加することがウエスタンブロットで証明され、さらにCD36/CD41二重陽性エクソソームも増加することが、各々に対する抗体を用いたsandwich ELISAにより明らかになった。
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