研究実績の概要 |
【目的】C型慢性肝炎への抗ウイルス療法による持続的C型肝炎ウイルス(HCV)血症消失にインターロイキン(IL)28B SNPが関与する。IL28B遺伝子のプロモーター領域にはT (thymine)とA (adenine)が反復する領域 (TA repeat) が存在し、その長さ(TAの繰り返し数)に個人間で多型があり、長いほど転写活性が高く、IL28B遺伝子発現レベルも高い。今回、日本人と黒人においてHCV自然排除とTA repeatの関連を検討した。 【方法】対象は、一般住民健診の日本人2041例およびアフリカ系アメリカ人201例。HCV抗体、HCV RNA検査により、自然排除群(+, -)、慢性肝炎群(+, +)、健常者群(-, -)に分類し、TA repeatとの関連を検討した。 【成績】TA repeat多型分布は、日本人は10~18回で、最頻度の12回が83.4%を占めたが、アフリカ系アメリカ人では急峻なピークはなく、日本人では同定されなかった6回の多型が認められた。全解析で10回以上のTA repeatはHCV自然排除に有意に相関していた。多変量解析により、HCV自然排除と相関する因子は、女性、IL28 SNP TT型、長いTA repeat多型であった。人種別検討で、長いTA repeat多型は、日本人(OR=10.7, P=0.022,)およびアフリカ系アメリカ人(OR = 3.70, P=0.027)でHCV自然排除と関連が認められた。 【結語】HCV自然排除には、IL28B SNPのみならず、TA repeatも関与している。
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