研究実績の概要 |
研究1:一般住民におけるC型肝炎ウイルス(HCV)自然排除の検討【方法】対象は、住民検診において、文書で同意を得た、HBs抗原陽性51例を除外した1056例 (男性 432例、女性624例、30歳から91歳)である。【結果】同住民において、インターフェロン高感受性遺伝子多型のIL28B TTは男性83.3%、女性82.6%で性差はなく、年齢別での差も認められなかった。同地区のHCV抗体陽性率は29.3%と高率で、HCV抗体陽性例中のIL28B TT 80.2%は、同抗体陰性例中の83.8%と差がなかった。HCV抗体陽性243例中、抗HCV療法を受けた57例を除外した、186例中HCV RNA陽性は136例、73.1%であった。HCV抗体陽性中の解析で、HCV RNA陽性例のIL28B TT 74.3%は、同陰性の98.0%に比べ有意に低率であった。【結論】インターフェロン治療を左右するIL28B遺伝子多型は、一般住民でのHCV自然排除に関与した。
研究2:C型肝炎ウイルス自然排除とインターロイキン28B遺伝子プロモーター領域の関連の検討【方法】対象は、住民健診の日本人2041例およびアフリカ系アメリカ人201例。HCV抗体、HCV RNA検査により、自然排除群(+, -)、慢性肝炎群(+, +)、健常者群(-, -)に分類し、TA repeatとの関連を検討した。【成績】全解析で10回以上のTA repeatはHCV自然排除に有意に相関していた。多変量解析により、HCV自然排除と相関する因子は、女性、IL28 SNP TT型、長いTA repeat多型であった。人種別検討で、長いTA repeat多型は、日本人(OR=10.7, P=0.022,)およびアフリカ系アメリカ人(OR = 3.70, P=0.027)でHCV自然排除と関連が認められた。【結語】HCV自然排除には、IL28B SNPのみならず、TA repeatも関与している。
上記の報告を、国際英文雑誌のJournal of Gastroenterology 2015 Oct;50(10):1069-77 (doi: 10.1007/s00535-015-1056-1)およびArchives of Virology 2016 Mar;161(3):641-8 (doi: 10.1007/s00705-015-2703-9)に出版した。
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