研究課題/領域番号 |
26461507
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
森 剛志 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 助教 (40426565)
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研究分担者 |
佐藤 克也 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (70398147)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | パネルRT-QUIC法 / 孤発性CJD |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、孤発性クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)のタイプ分け(特にMM1とMM2)を早期に鑑別可能とするパネルRT-QUIC法を構築することである。RT-QUIC法は、異常型プリオン蛋白(PrP)を試験管内で増幅させる方法であり、超微量の異常型PrPを数日で検出可能とする。本法は基質としてリコンビナントPrP(recPrP)を要するが、RT-QUIC法はこのrecPrPの配列に依存すると考えられている。そこで様々な変異recPrPを構築・精製し、プリオンタイプ特異的RT-QUIC法を構築する。 平成27年度は、前年度までに構築・精製した一アミノ酸置換型recPrP(マウスrecPrP(Q185R)、マウスrecPrP(Q218R)及びマウスrecPrP(Q218H))を用いて様々なプリオン株でQUIC反応を調べた。マウス順応スクレーピー株(Chandler株及び22L株)を用いてQUIC法を行ったところ、興味深いことに、recPrPの変異箇所の違いによりQUIC法感受性において異なる結果が得られた。しかしながら、ヒトプリオン、CJD患者の髄液を用いてQUIC法を行ったところ、感受性において目立った違いは得られなかった。 そこで、一アミノ酸置換型recPrPではなく、アミノ酸部分欠失型recPrP(デリーションミュータント)を構築した。今年度は、ヒトに注目し、ヒトrecPrPのデリーションミュータント(ヒトrecPrP(82-231)、ヒトrecPrP(97-231)、ヒトrecPrP(103-231)及びヒトrecPrP(121-231))の構築・精製を試みたところ、ヒトrecPrP(82-231)及びヒトrecPrP(97-231)の大量精製に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
変異recPrPの作製および解析など現在のところ順調に進んでいる。しかしながら、結果に差が観られたのはマウス順応プリオン株である。ヒトプリオン、CJDにおける株間を分離同定可能な変異体はまだ得られていない。
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今後の研究の推進方策 |
今年度までに構築した変異recPrPについて、二次構造の相違点を比較する。また、高精度のパネルRT-QUIC法を完成させるために、構築したrecPrPを用いてRT-QUIC法を行い、CJDのタイプ、MM1とMM2を鑑別できるリコンビナントの組み合わせを調べる。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度までに5種類の変異recPrPの作製に成功した。現在、2種の作製を試みている。これら変異リコンビナントの大量精製の際に使用するNi-NTAスーパーフローアガロースが高額であり、かつ、その後の2次構造解析、RT-QUIC反応に用いる試薬が無数にあるため、次年度使用額が生じたと考えられる。
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次年度使用額の使用計画 |
パネルRT-QUICの高精度化のために、変異リコンビナントの大量精製およびその後のRT-QUIC反応試薬調整は必須である。これらの解析を遂行させるために使用する。
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