免疫低下が見られていない宿主での中枢神経クリプトコックス症の発症において、抗GM-CSF自己抗体の関与が示唆されており、現在、日本人の血清で調査するための測定系を構築中である。具体的には、COOH-ビーズをEDC(エチルカルボジイミド)とS-NHS(スルホ-N-ヒドロキシスクシンイミド)で活性エステル化し、ヒトリコンビナント(rh) GM-CSFと反応させることでrh GM-CSFをCOOH-ビーズに固定化させた(アミンカップリング)。現在、アミンカップリングが成功しているかどうかを、R-フィコエリスリン(PE)を結合させた抗ヒトGM-CSF抗体を用いて評価中である。 1977年から2016年間に経験した非HIVに合併したクリプトコックス症例について、基礎疾患や髄膜炎を含む合併症、検査結果などの臨床的特徴を多角的に解析している。また、これらの症例から分離された臨床分離株について、MLST(Multi locus sequence typing)による遺伝子型にくわえ、莢膜形成、メラニン産生、ウレアーゼ産生、37℃での発育能などの病原性を評価しており、患者側のみではなく、病原微生物側からも疾患の進展に関するアプローチを行っている。クリプトコックスのMLSTによる遺伝子型については、国内学会で報告している。
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