研究課題/領域番号 |
26461515
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
越野 一朗 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (80328377)
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研究分担者 |
高桑 雄一 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (40113740)
新敷 信人 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (80569658)
田中 正太郎 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (90380667)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | マラリア原虫 / 赤血球膜骨格 / PKAリン酸化 / デマチン |
研究実績の概要 |
本研究の目的である、仮説「PKAリン酸化によるマラリア原虫受容体のアンカーからの離脱は、原虫の赤血球侵入の必要条件となる」の実証のために、最も主要なPKAの基質であるアンカー蛋白質デマチンが結合する、マラリア原虫の受容体候補分子(X)の同定(平成26年度計画2))に重点をおき検討を行った。 赤血球から調製した反転膜小胞(デマチン、およびXの細胞内領域を外側に露出している膜小胞)を用いた解析では、PKAリン酸化の結果デマチンが反転膜小胞から解離したことから、デマチンとXとの結合はPKAリン酸化により弱まることが示された。この結果を踏まえ、次に非イオン性界面活性剤を用いて脂質二重層を可溶化して調製した赤血球膜骨格(膜骨格に、デマチンを介してXが結合していると想定される)を用い、PKAリン酸化によって膜骨格から解離してくる膜貫通タンパク質(主にXを含むと予想される)を回収し、その同定を試みた。その過程で、Xを効率よく検出・同定するためには、膜貫通タンパク質をビオチン標識する必要があること、アミノ基に加え糖鎖など複数の官能基を標的としたビオチン標識法を組合せる必要があること、が判明し(11.現在までの達成度で後述)、現在その条件検討を行っている。 平成26年度計画3)については、グリコフォリンAは膜骨格に結合した分画が検出されず、したがってPKAリン酸化による膜骨格からの解離も起こらないこと、さらにグリコフォリンCは膜骨格に結合しているものの、PKAリン酸化による解離は認められなかったことを明らかにした。したがって、計画していたPKAリン酸化による膜貫通タンパク質の拡散速度の検討対象からは除外することとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
PKAリン酸化によって膜骨格から解離する膜貫通タンパク質(主にXを含むと予想される)を回収し、質量分析によりその同定を試みたが、使用したPKA(ウシPKA触媒サブユニット、Sigma社)に大量に含まれる夾雑タンパク質が、解離した膜貫通タンパク質の単離・同定を困難にすることが分かった。解決策として、膜貫通タンパク質をあらかじめsulfo-NHS-ビオチンで標識し、リン酸化によって解離したタンパク質のうち膜貫通タンパク質のみをストレプトアビジンカラムで分離回収する方法に切り替えたが、さらにアミノ基を標的としたNHS-ビオチンでは赤血球膜貫通タンパク質の標識効率が極めて低く、アミノ基以外の官能基(糖鎖等)を標的としたビオチン標識法を組合せる必要があることが分かった。この問題の解決に時間を割かれたため、研究の進行はやや遅れた結果となっている。
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今後の研究の推進方策 |
上記11.で述べた通りの方策で遅れを取り戻しつつ、研究計画調書に記載の計画に従いデマチン-X間結合に対するPKAリン酸化の影響に重点を当てて研究を進める。申請当初に計画していた4.1R-グリコフォリンCならびにアデューシン-バンド3/グリコフォリンA間結合を対象とした解析は、上記9.研究実績の概要で述べた理由で今後の検討から除外する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
概ね計画通りに使用したものの、平成26年度使用額がやや不足したため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度使用額と合算し、物品費として使用。
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