研究課題
本研究は、バキュロウイルス発現系を用いて作成したヒトノロウイルス(HuNoV)の人工ウイルス様空粒子(VLP)を抗原に用い、ヒト型ファージ抗体ライブラリーから多数の抗HuNoV抗体を単離し、受動免疫による予防・治療や、簡便なウイルス検出キットを開発すること、さらには、それら抗体が認識するウイルス構造タンパク質上のエピトープを同定し、HuNoVワクチン設計を試みることを目的としている。今年度は、Narita 104株(GII.4)に対する3つのヒト型ファージ抗体が認識するエピトープを同定するため、同株のメジャーなカプシドタンパク質であるVP1(約540aa)をサブドメイン毎に分割して大腸菌で発現させることを試みた。そして、Nt、S、P1N、P2、P1Cの5つのサブドメインを、GST、あるいは、SUMO融合タンパク質として発現させることに成功した。さらには、それら融合タンパク質の精製も行った。
3: やや遅れている
研究計画書では、これまでに単離したヒト型抗HuNoV抗体の6クローンうちの交差反応性抗体に関しては、エピトープ領域の同定が終了している予定であるが、まだできていない。今年度、申請者は、エピトープ同定に必要な抗原の作製に成功した。今後、これらレコンビナントタンパク質を用いたELISAやWestern blotを行えば、エピトープ領域の同定が可能なところまでこぎつけているので、「(3)やや遅れている」とした。
今年度は、Narita 104株(GII.4)のS、Nt、P1N、P2、P1Cを、GST、あるいは、SUMO融合タンパク質として、大腸菌で発現させることができた。来年度には、Chiba 407株(GI.4)についても同様に、VP1の各サブドメインを、GST、あるいは、SUMO融合タンパク質として大腸菌に発現させ、精製する。そして、それらレコンビナントのGST、あるいは、SUMO融合サブドメインを抗原に用い、6つのヒト型抗HuNoVファージ抗体が認識するエピトープ領域の同定を行いたい。
実験の進捗が、計画書よりやや遅れている。遅れている内容は、ヒト型抗HuNoVファージ抗体のエピトープ領域の同定で、このために必要なプラスティック消耗品や試薬の購入を控えている状況にある。そのため、次年度使用額が生じた。
エピトープ領域の同定に必要な抗原(VP1タンパク質をサブドメイン毎に分割して、GST、あるいは、SUMO融合タンパク質として大腸菌に発現させたレコンビナントタンパク質)を得られるようになったので、次年度以降、ELISAやWestern blotを行う予定であり、これらに必要な試薬や消耗品の購入に充てる予定である。
すべて 2017
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件)
Korean J. Food Sci. An.
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https://doi.org/10.5851/kosfa.2017.37.1.1
PLOS ONE
巻: March 27 ページ: 1-22
http://doi.org/10.1371/journal.pone.0173979